
<ロッテ3-9日本ハム>◇15日◇ZOZOマリン
日本ハムが誇る「海賊打線」のジョーカーこと吉田賢吾捕手(24)が一振りで逆転勝利を決定づけた。1点を勝ち越した直後の6回1死満塁で代打起用され、走者一掃の適時三塁打を放った。新庄剛志監督(53)が3択の中から“勘ピューター”で繰り出した勝負手がはまり、連敗は2でストップ。開幕から15試合連続で犠打0という2リーグ制後のプロ野球新記録で、開幕から敵地7連勝。そしてZOZOマリンでは昨季から8連勝となった。
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吉田は打席の中で“冷静と勢いのあいだ”にいた。6回1死満塁。犠打なしでつながった打線は3点ビハインドをはね返し、1点を勝ち越し。最高潮のムードの中で代打起用されて「併殺を打ったらどうしようとか、そんなマイナスなことは考えずに、自分もその流れに乗って行こう」。2番手のサイド右腕横山が投じた初球の154キロ直球が大きく外角へ外れた。ここで冷静に、確信した。
吉田 満塁で代わりっぱな。押し出し(四球も死球)も嫌。内角もないと思って踏み込んでいきました。
2球目は外角のストライクゾーンに155キロ直球が来た。逆らわずに右中間へはじき返した。必死にダイヤモンドを駆け巡ってプロ初の三塁打。満塁の走者は全員生還。一振りでビッグイニングに仕立て上げたヒーローは、ヘルメットが脱げそうになるほどのガッツポーズを見せた。
新庄監督が繰り出した勝負手だった。誰を代打で出すか。「僕の中で、大事な場面は代打でキャッチャー」。理由は「キャッチャーは割り切れる」。打者を抑え込む配球を常に考えている捕手だからこそ、勝負どころは狙い球をきっちり絞れるからだ。
控えには郡司、田宮、吉田の3捕手がいた。「この3人の選択だった。(先発の)種市君にめちゃくちゃ相性がいいのは田宮君。対戦をしてないのが吉田君。これはちょっと対戦をしてない吉田君で行ってみようと」。これぞ“勘ピューター”。対戦データのない吉田を代打起用すると種市は交代。代わってマウンドに上がった横山の心理も見透かしながら、外角直球待ちで見事に結果を出した吉田に、新庄監督は「当たりましたね。これがファイターズ。(火が付いたら)止まらない」と満面の笑みだ。
日本一を目指しチームスローガンの「大航海は続く」中で、犠打がなくてもつながる「海賊打線」の強さを示した逆転勝利だった。
▼日本ハムが開幕から15試合を消化して犠打が0。2リーグ制後、開幕から15試合連続で0犠打は95年西武を上回る新記録となった。なお、シーズン最少犠打数は50年松竹、同年南海の25個。