
日本ハムが今季初のサヨナラ勝ちで連勝を4に伸ばした。新庄剛志監督(53)は0-0の延長12回2死、、四球で出塁の万波に替えて、松本剛外野手(31)を代走、打席の奈良間に替えて郡司を代打に送る勝負手。2球目に松本剛が二盗を成功させ、その後郡司の劇的サヨナラ弾が飛び出した。指揮官が切った勝負カードの2人が膠着(こうちゃく)した一戦を決着させた。
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サヨナラのヒーロー郡司が熱狂の中でお立ち台に上がる頃、新庄監督もダッグアウト裏で声を弾ませた。「いや~いいチームですよ。興奮した」。劇的な形で連勝が今季最長4に伸びた。「1試合1試合を精いっぱいやって勝ち取ったっていうところです。連勝とか関係…あるか(笑い)。気持ち的にね」。午前に仙台から移動し、12回まで戦ったハードな1日。終わり方は最高だった。
0-0の延長12回2死無走者。引き分けが濃厚な展開で万波が四球を選ぶと、新庄監督が動いた。代走に松本剛。そして直前の楽天3連戦で計7安打を放っていた奈良間に代打・郡司を送った。「奈良間くんが今調子いいから…」と迷ったが、「何秒かの間で」決断した。
代走を告げられた松本剛は腹をくくっていた。「3球以内に勝負」。二盗を決めれば、西武の外野守備体形は前進になり、打席の郡司の気持ちも楽になる。一塁へ向かう直前、代田データ分析担当兼走塁コーチに宣言。「失敗したら代田さんのせいなんで。代田さんが『走っていいって言いました』って言います」。自身の気持ちも楽にし、ベースに立った。
初球フォークでボールの後の2球目、松本剛は二塁へ駆け出した。「いいスタートが切れたので、あとはキャッチャーとの勝負」。投球は同じ変化球でストライク。捕手古賀悠も好送球だったが、松本剛の足が勝った。「今年一番緊張しました」。アウトになれば試合終了の瀬戸際。新庄監督は「勇気いりますよ、あれは。あれがデカかった」。直後に、郡司の劇的な1発が飛び出した。
前日までは投打がかみ合い敵地で同一カード3連勝。そしてこの日は3時間40分、延長12回の熱戦で、最後の数分でグラウンドに立った2人が活躍した。「1点ゲームになるっていうのは、みんなが思ってたと思いますけど、それをしっかり勝てたっていうのはすごく大きいかなと思います」。選手会長・松本剛の言葉が、チーム状態のよさを表していた。【本間翼】
▼日本ハム郡司が代打サヨナラ本塁打。延長回にスコア0-0からの代打サヨナラ弾は、70年の池田純一(阪神)が7月29日ヤクルト戦の13回に満塁本塁打で記録して以来プロ野球2度目で、パ・リーグでは初めて。郡司のサヨナラ本塁打は昨年8月1日オリックス戦に次いで2本目。日本ハム選手の代打サヨナラ本塁打は05年9月28日ロッテ戦の田中賢介以来、球団20年ぶりとなった。