
【ロサンゼルス(米カリフォルニア州)11日(日本時間12日)=斎藤庸裕、久保賢吾】ドジャース山本由伸投手(26)が、奪三振ショーで圧倒した。カブス戦に先発し、6回2安打無失点、9奪三振をマーク。魔球と化しているスプリットに加え、全球種を駆使して打者に的を絞らせなかった。日本開幕戦以来の2勝目を飾り、チームは今季初の完封勝利。「1番DH」で出場した大谷翔平投手(30)は4打数無安打2三振に終わり、開幕からの連続出塁が14試合でストップした。
◇ ◇ ◇
山本がほえ、喜び、笑った。唯一のピンチは4回2死三塁。4番ブッシュからスプリットで空振り三振を奪うと、大きく口を開けて雄たけびをあげた。球数はかさんだものの、6イニングのうち3者凡退が4度。圧倒的な投球でカ軍を翻弄(ほんろう)した。6回を投げ終えると、三塁側スタンドは立ち上がって拍手。大歓声のスタンディングオベーションで迎えられた。
「ファンの方の歓声は背中を押されるといいますか、本当に力になるっていうのは試合を投げるごとに感じますし、こんな中でプレーできてすごくうれしい」
今や、力投後のロバーツ監督とのハグは恒例行事。この日も、頭を傾けながら熱く抱き合った。奪三振ショーに同監督は「比較しすぎることはしたくないが、ヒデオ(野茂英雄氏)のようだ」と、ド軍の歴史を彩った希代のドクターKに例えた。被打率1割未満の魔球と化しているスプリットを中心に直球の制球力を生かし、スライダー、内角へのツーシームなど全球種を交えてリズムよく投球。山本は「ストレートもすごくコントロールできてたと思いますし、変化球も良いゾーンに投げられて、良いカウントで勝負できていたので、いろんな選択肢があった」と、手応えを口にした。
メジャーリーグに適応する必要があった昨年とは違い、2年目の余裕が漂う。「すごく幅のあるピッチングといいますか、いい配球だったかなと。そこに自信を持って投げていけたのが良かった」。圧倒的な投球ぶりに早くも、サイ・ヤング賞を期待する声が上がっている。「ここまで日本人の選手がまだ受賞したことないって聞いているので、すごく興味ありますし、1試合1試合に集中してベストのパフォーマンスを出していくことが素晴らしい賞につながると思うので、とにかく毎日を頑張りたい」。胸を張り、試合を振り返る姿が頼もしく映る。