
<明治安田J1:G大阪2-0名古屋>◇12日◇第10節◇パナスタ
ガンバ大阪が名古屋グランパスを下し、5戦ぶり勝利で暫定ながら10位に順位を上げた。
ボールを握って戦うことを強調して臨んだ一戦で、G大阪は64パーセントのボール支配率を記録する圧倒ぶりで、名古屋に完勝した。
2日のFC町田ゼルビア戦、6日の柏レイソル戦では0-1で連敗。チーム事情により4-3-1-2の急造システムで戦ったが、無得点に終わる苦しい時間が続いた。
そんな状況を脱するきっかけとなったのは、柏戦の後に非公開で行われた練習試合だった。この練習試合では、システムが昨季からのベースである4-2-3-1に戻されたといい、それによってスムーズな攻守を取り戻した。
名古屋戦で右サイドを活性化し、2点目も決めたFW山下諒也(27)は、前日に「こうやればまたいいサッカーができるんだなというイメージは上がっている。期待してもらっていい」と自信をみなぎらせていた。この日、あらためてその理由がどこにあったかを問うと「(練習試合で)フォーメーションを戻して試合をして、いい形で得点も取れた。それが自信につながった」。有言実行のパフォーマンスを見せた背番号17は、静かな環境で行われたゲームの効果を明かした。
ボランチで出場したMF鈴木徳真(28)も、その練習試合で確かな手応えをつかんでいた。これまでMFネタ・ラビ(28)とダブルボランチを組む際は、ラビが前に出て、その後方を鈴木がカバーすることが多かった。だが名古屋戦では、自らが前への動きを担った。前半25分に山下がスピード突破からクロスを入れた際には山下に負けないスピードで駆け上がり、FWイッサム・ジェバリ(33)とともにゴールに迫り、同44分にはペナルティーエリア内で決定的なシュートも。この変化に鈴木は「自分を生かすためにどうしたらいいのかがわかってきた。僕が前でプレーすることを選択した方が、早くこのチームにフィットできるなと考えて。練習試合や練習で調整したことによって、今日みたいな形を生み出せた」。山下同様、練習試合の影響があったことを認めた。
山下はこの試合で最多16度のスプリントを記録し、鈴木は出場選手で最多12・384キロを走りきったように、選手の強みがより生きての勝利。2人からは今後に向けても明るい言葉が発せられた。山下は「また去年と違ったガンバが見つけられると思う。ボールを握り続けることがいい守備にもつながる。みんなが今日得たものがあると思うから、これを基に良いものを作っていきたい」。鈴木も大きな一歩になったことを実感した様子で語った。「自分たちのサッカーをしっかり取り戻せたと思うし、何がやりたいのかが明確になった試合。今後うまくいかなくなった時に、今日の試合が原点だったな、ここから始まっていたなとなるような試合だったと思う。もどかしさみたいなのは解消されて、一歩前に行くことができるかなと考えている」。原点回帰し、結果を出して自信を深めたG大阪の巻き返しが、ここから始まる。【永田淳】