
<ヤクルト2-0中日>◇5日◇神宮
ヤクルト山田哲人内野手(32)が、プロ野球史上46人目となる通算300号本塁打を放った。
2回無死二塁、中日松葉から神宮の左翼席中段に豪快にたたき込んだ。プロ15年目、今季11打席目にして初安打が節目の1発となった。主将のメモリアル砲でチームは1分けを挟んで3連勝。開幕3連敗を一気に取り戻した。
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手応えは十分だった。山田は確信を持って走り始めた。左翼中段に飛び込む、文句なしの1発。100号も200号も神宮だった。「今日こそは、と思ってフルスイングしました。ここはやっぱり特別な場所ですし、そこで打てたのはうれしく思います」。ファンを喜ばせてこそ、節目はさらに輝きを増す。
「まさか300本も打てるとは思っていなかった。打ちたいという願望だけで、ここまできた感じです」
プロ1年目の途中からバットは重さ900~910グラム、長さ33・5インチ(85・09センチ)、ハードメープル素材とほぼ変わらない。不調に陥った時期も「単純に自分の技術が足りないから」と1本の相棒を貫く。結果に向き合い、常に自己に原因を求めてきた。自らを不器用と言い、ベッドに横になりながら、打撃のイメトレも日課。研ぎ澄まされる感覚を大事にし、結果を出してきた。
昨季は打率2割2分6厘、14本塁打、39打点、1盗塁と不本意だった。このオフは走りまくった。特別大きくはない体で本塁打を量産してきた要因は体のキレ。自主トレでは50メートル走のインターバル走を24本続けた。誰かに言われたわけでもない。「単純に自分で必要だな」と向き合った。キレと故障しない体を追求し、15年目に備えてきた。
3月1日の巨人とのオープン戦で左手中指を脱臼し、開幕から出遅れた。戦列に復帰して3試合10打席でヒットすら出なかったが、オフに積み上げてきた自信は揺らがなかった。神宮では167本目。池山2軍監督の持つ球団記録に並び、通算でもあと4本で並ぶ。
「2軍時代からお世話になっている方の記録に並べたというのは、これも何かの縁だと思いますし、すごく不思議だなって思います」。高校時代はすり足打法だったが、プロ3年目に池山氏に足を上げるようにアドバイスされ、それも長打力開眼の契機となった。「はよ打てよって言われているので、早く打ちたい」。この日の打球を見る限り、恩師の記録まで一気に到達しそうな感じだ。【沢田啓太郎】
▼通算300本塁打=山田(ヤクルト) 5日の中日2回戦(神宮)で松葉から今季1号を放って達成。プロ野球46人目。初本塁打は12年8月10日の巨人12回戦(東京ドーム)で内海から。ヤクルトで300本以上は池山の304本に次いで2人目。山田は32歳8カ月、1544試合で達成。年齢は15位、試合数は30位だが、池山の35歳4カ月、1691試合より早く到達した。また、神宮球場では通算167本塁打となり、こちらは池山に並び最多。