
<明治安田J1:C大阪1-0鹿島>◇第10節◇12日◇ヨドコウ
セレッソ大阪が、幸福の神様「ビリケンさん」の後押しを受け、ついに歴史的連敗に終止符を打った。
これまで12連敗中だったホーム鹿島戦に、1-0で勝利。10年5月5日以来、15年ぶり。アウェーを含めれば16試合ぶりの白星になった。
その天敵に効力を発揮したのが、大阪市にある通天閣の公認キャラクター「ビリケンさん」。来場すれば無敗を誇っており、この鹿島戦で12戦無敗(9勝3分け)となった。愛称「幸福の神様」は試合中はベンチに座って、試合後は選手にもみくちゃにされた。
SNSでは、来場が決まった際に「何も鹿島戦にビリケンさんをぶつけなくても…これで不敗神話が終わってしまう」と嘆きの声もあった。最悪の相性の鹿島戦に呼ぶことは、賛否があったのも事実。
しかし、ふたを開ければ、DF進藤亮佑(28)の後半57分の決勝点で歴史に残る勝利に。後半だけでVARによる得点取り消しが2度、通常のオフサイドによるノーゴールが3度、そして決勝点が生まれる40秒前には、FWハットンのPK失敗があった。台本でも描けない展開で、まさに奇跡的な1勝だった。
今回の来場を主導したのは、クラブ内にあるファンマーケティング部。グループ長の生田修也さんは「今季は勝ちにこだわりたい。その姿勢を選手以外のスタッフも見せたい」と決意していた。
無謀? とも思われたホーム12連敗中の天敵に、来場すれば11戦無敗のビリケンさんをぶつけた勝負度胸と勝負勘には、ただただ感服するしかない。ビリケンさん最強伝説の誕生といっても過言ではない。
ビリケンさんの鹿島戦来場は初めてで、今季初の出番だった。試合後、敗れた鹿島のスタッフがC大阪側にこんなコメントを残したという。
「鹿島戦には、ビリケンさんを来場させないでください」
SNSでもサポーターから「ビリケンさん、ありがとう」「これから全試合に来てください」「何か2試合分を見た感じ」という感謝のコメントもあった。
C大阪が目指すのはピッチ内の勝利に加え、スタジアムで味わえるエンターテインメント性もある。クラブ職員一同がプライスレスな喜びを感じた1日だった。
◆ビリケンさん 庶民の味方として古くから世界中で愛されてきた幸福の神様。1908年に米国の女性芸術家が「夢の中で見た神様」をモデルに制作した作品が起源とされる。日本ではC大阪のホームタウン大阪市の通天閣にある像が有名で、C大阪は過去、開幕前に通天閣のビリケンさんに必勝祈願をしたこともあった。