
<明治安田J1:C大阪1-0鹿島>◇12日◇第10節◇第2日◇ヨドコウ
セレッソ大阪が、超劇的な後半アディショナルタイム12分弾で、鹿島アントラーズから15年ぶりの勝利を挙げた。ホームで12連敗中で、適地を含めれば2000年から勝ちがなかった難敵から、DF進藤亮佑(28)が決勝点を奪った。
実に5度もゴールネットを揺らしながら、全て幻に終わっていた。ビデオ・アシスタント・レフェリー(VAR)による2度のゴール取り消し、オフサイド、PK失敗…本拠を幾度も歓喜と落胆が交錯し、内容とは裏腹に0-0で迎えた後半「57分」に、左CKからのこぼれ球を右奥に詰めた進藤が右足で押し込んだ。
ついに、ついにゴールをこじ開けた進藤はサポーター席で喜びを爆発させ、MF香川真司も大喜び。試合後のヒーローインタビューでも興奮を隠せなかった。
進藤「正直、今は冷静な受け答えができないっす。(5度オフサイドなどありましたが、最後に決めて)あそこに詰めていって、こぼれてくるのは100回に1回もしれないけど、その100回を言い続けてきていたので、良かった。人生で出るドーパミンが全部、出ましたね」
負傷もあり、昨季は出場9試合にとどまった。納得できない日々の不満を吹き飛ばす劇的弾。「けがしてから、なかなか上がってこない…納得できない日々で満足できなかったけど、こうして結果が出ると、自信になる」と己をたたえた。
ホームで12連敗中という屈辱にも、まみれてきた。「取材では『意識してない』とは答えてきたけど、レオ・セアラがいて鈴木優磨がいて。その中で歴史的な勝利に自分が貢献できて誇りに思います」と充実感をあふれさせた。最後は「思ったより冷静に受け答えできました」と笑わせ、締めくくった。
試合は後半10分、CKの流れからFWラファエル・ハットンが頭で押し込んだが、VARで取り消しになった。10分後にはルーカス・フェルナンデスが決めたかに見えたが、オフサイドの判定。さらに2分後の後半22分、FKから最後は進藤が頭でネットを揺らしたが、これもVARで取り消されていた。
さらに2度、オフサイドでゴールが無効となり、計5度の「幻のゴール」が生まれた。運に見放されて終わるかと思われた後半追加タイム7分にはPK。最後の最後に決勝弾…と普通は信じられる確率だが、ハットンの左へのキックは鹿島GK早川に、完璧に止められる。
万策尽きたはずが、そのPK失敗時に最低限で得ていた左CKから、決勝点。ニアにいたレオ・セアラに頭でクリアされそうになったが、運命か、絶妙な“すらし”となって大奥の進藤へ。待望の1点がゴールマウスに突き刺さった。