
<明治安田J1:C大阪1-0鹿島>◇第10節◇12日◇ヨドコウ
セレッソ大阪が、ホームで12連敗していた天敵の鹿島アントラーズをついに下した。10年を最後に遠ざかっていた相手に、15年ぶりの白星。
その舞台裏で、アーサー・パパス監督(45)とMF香川真司(36)がこんな会話をかわしていた。
会場入りする前のミーティングで、指揮官は言った。
「15年前に鹿島に勝ち、ゴールしたのは真司だ。今日もしっかりとチームを勝たせてほしい」
言われた香川も、そこまで歴史を調べていた指揮官に少し驚いたという。
10年5月5日、長居スタジアムで2-1と鹿島を下した試合に、当時21歳の香川は先発した。先制ゴールを挙げ、最後はアマラウの勝ち越し点で制した。初の海外挑戦となるドルトムントへと旅立つ、直前の試合だった。
そして23年1月、香川は古巣に復帰した。12連敗中の事実を「最近知った」という香川は、「あってはならないこと。これが俺たちの現状。広島にも、ああいう負け方(=前節に逆転負けし、公式戦9戦未勝利)をしていた」。自戒を込めて奮い立った。
36歳の大ベテランは、後半44分にピッチに立った。最終盤でもFWハットンのPK失敗など、勝負弱いチームの一面が出たものの、最後まで仲間を鼓舞し、勝利へ結びつけた。
「(途中出場の自分としても)大きな責任があった。勝ったことは、非常に大きい。監督の指示待ちではだめだし、自分たちで考え、俺たちのメンタリティーを成長させる必要がある。時には感情的になり、けんかも必要。やっと不名誉な記録を打ち破れた」
チームは通算3勝3分け4敗の勝ち点12に伸ばし、前節15位から暫定12位に浮上した。
直近出場した4試合は全て途中出場。プレータイムは限られているが、パパス監督からもリスペクトされる背番号8の力は、まだまだC大阪に必要だ。
◆パパス監督(香川について)「年齢に関係なくすばらしい選手。15年前ゴールしたのは香川。今回もピッチに立って、勝たせてくれた。15年たった今も、いまだに称賛に値する選手です」