
<記者の目>
伝統の大学リーグが、創設100周年を機に大改革に打って出た。東京6大学野球連盟は10日、都内で理事会を行い、26年の春季リーグから指名打者(DH)制を導入することを決めた。他大学のリーグでは関西学生と共に取り入れてなかったが、創設101年を迎える来春から採用。今後、全国大会の明治神宮大会などDH制未採用の大会での導入議論が進みそうだ。また、12日開幕の春季リーグからビデオ検証の導入も決まった。
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東京6大学野球で来春から導入されるDH制は、連盟創設100年を彩る画期的な試みだ。現代的なルール整備を望む声を踏まえた上での決定により、次の100年に向けた「進化」の象徴と言えそうだ。
打撃に特化した選手起用が可能となり、リーグ2連覇中の早大・小宮山悟監督(59)は「高校生を勧誘する際にも『打つだけ番長』を取れるメリットが出てきた」と歓迎した。また、投手を打席に立たせないことでケガのリスクを軽減できることから、東大のエース渡辺向輝投手(4年=海城)も「継投が多い東大としては、ピッチャーに専念できるのはいいこと」と捉えた。
一方、新たな課題も出てくる。過去には明大出身の山崎福也投手(現日本ハム)のような投打で活躍する選手もいただけに、その時々のニーズに合わせた対応も迫られそうだ。早大・伊藤樹投手(4年=仙台育英)は「見る側としては、ピッチャーのバッティングを見られないのは寂しい。大谷選手のように投打二刀流で活躍できるような選手が出て来た時は、チームとして難しい判断を迫られそう」という見方を示した。【平山連】