
人間国宝の狂言師野村万作(94)が23日、東京・シネスイッチ銀座で、自身が出演するドキュメンタリー映画「六つの顔」(犬童一心監督)の公開記念舞台あいさつに、長男野村萬斎(59)、孫の野村裕基(25)と出席した。
万作がライフワークとして取り組んできた演目、「川上」を軸に、万作の軌跡と今を映し出した作品で、前日22日に公開になった。万作は「感想を聞くたびにうれしく思っています。感動したとおっしゃっていただく方もいらっしゃるので、600年の伝統をもってきた狂言の、『川上』という作品を取り上げたことの意義が十分にあったのではと思っています」と喜んだ。
萬斎は「父のおじいさんのころからの話があって、裕基までつながっている。その中で人生というようなことが描き出されているんですね。とてもうれしいなと思いました」と話した。
万作は「私のこういう晴れがましいのは2回目です。1回目はインスタントコーヒーのコマーシャルです」と喜び、萬斎が「違いのわかる、ね」と「違いのわかる男」のフレーズで知られたネスカフェゴールドブレンドのCMだとフォローする場面も。
締めの言葉を求められ、万作は「『当たるといいな』は下品ですから、言わないことにして。『当然当たる』と思います」と宣言し、大きな拍手を受けた。