年間総生産台数、わずか1700台。
マクラーレンが4800台以上(2018年)、アストンマーティンが5117台(2017年)、ランボルギーニが5750台(2018年)、フェラーリが9251台(2018年)を生産し、かつそれぞれのメーカーがさらに販売を伸ばしていこうとしている中、頑なに少量生産を貫き、「品質を保つために、これ以上の増産計画は現状存在しない」と宣言している稀有な会社が、アルピナです。
BMWをベースにしたハイエンドモデルをハンドメイドで丁寧に作り続けるアルピナは、世界中に多くのファンが存在しますが、アルピナには「もうひとつのビジネスの柱」があります。そう、「ワインの販売」です。日本では、アルピナの日本総代理店ニコル・オートモビルズ主催の試乗会やイベントなどで目にすることのある「アルピナのワイン」。具体的にどういったものか、イメージしにくい方も多いのではないでしょうか。
今回、ドイツ・ベルリン在住の筆者が、実際にアルピナを通じてワインを購入してみました。そのレポートとともに、アルピナのワインビジネスがどういったものなのか、レポートしていきたいと思います!
レース帰りにワインを満載
アルピナはもともとタイプライターなどを生産する、事務機器メーカーでした。その創業者の息子であるブルカルト・ボーフェンジーペンが、タイプライター工場内でBMW・1500用のマルチ・キャブレターユニットを開発し、これに「アルピナユニット」と名付けたのが始まりです。
「アルピナユニット」を開発したのは1961年のことでしたが、ブルカルトがチューニングしたエンジンの評価は非常に高く、1964年には早くもBMW公認チューナーとしての認可が下り、アルピナがチューニングしたクルマにもBMWの車両保証が与えられることになります。
その後は破竹の勢いでドイツ、そしてヨーロッパのツーリングカーレースを席巻。1977年シーズンを最後に一旦レースから撤退し、1978年に現在のブッフローエ市に工場を設立、初の市販車コンプリートカーとして「B6 2.8」「B7ターボ」「B7ターボクーペ」の3車種を発表します。