
<オリックス0-2日本ハム>◇20日◇京セラドーム大阪
日本ハム吉田賢吾捕手(24)が、オリックス戦(京セラドーム大阪)で値千金の決勝打を放った。
好機で3打席連続凡退して迎えた7回2死満塁で、初球を捉えて先制左前適時打。新庄監督から受けた助言を生かしながら、今後の野球人生もかけた一振りで“四度目の正直”となった。チームは3カードぶりの勝ち越しを決め、首位オリックスとのゲーム差を「1」とした。
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吉田は心の中で、先に謝っていた。「ファンの皆さんには申し訳ないですけど、アウトになるのは3回も4回も一緒だなと思って割り切った」。1、3、5回と3打席連続で好機で凡退したあとに7回2死満塁で打席へ。「こうなったらマインドが全て。自分の持ち味は積極的にボールにスイングをかけていくところ」と、原点回帰で初球スライダーを引っ張って、先制の左前適時打を放った。
休養でスタメンを外れたレイエスの代わりに「5番DH」でスタメン出場すると「さすがに、こんなに回ってくるか…」とチャンスばかりが巡ってきた。試合中には野村から「今日は“お前の日”だよな」と言われたが、自覚もあった。7回は「自分の今後の生活がかかっている打席だと認識していた。勝っても負けても自分。全責任を負うつもりでいきました」。最後は自分自身にかけたプレッシャーに打ち勝った。
新庄監督のアドバイスも“四度目の正直”のスパイスとなった。「(5回の)3打席目が終わった後に監督から『ちょっと今日、ボール見すぎてない』と」。
先発宮城に対しては本塁打も放った4日の対戦を踏まえて「空振りしたコースやボール球に手を出したらしんどくなると分かっていた。逆にそこの判断で1個(打つポイントが)差されちゃう感覚だった」。洞察力、分析力が優れているからこそハマった落とし穴から、吉田を救った指揮官は「あそこは行かせるべきでしょ」と挽回のチャンスを与えてくれた。吉田も助言通りに「見すぎない。打てるコースが来たら打つ」と期待に応える大仕事。“吉田の日”は笑って終えられた。