
<楽天2-5日本ハム>◇8日◇楽天モバイルパーク
日本ハム清宮幸太郎内野手(25)が、みんなの思いを打球に乗せて決勝打を放った。楽天戦(楽天モバイルパーク)の9回2死一、二塁で中堅後方を襲う決勝の2点適時二塁打。前カードのオリックス3連戦では三塁守備で悔しい思いをした主砲が、気持ちを切り替えて最高の場面で仕事を果たした。エース伊藤の今季初完投勝利をアシストする一打で、チームの連敗も3で止めた。
◇ ◇ ◇
試合が始まるまでに清宮幸は心を立て直していた。
清宮幸 いや、もうなんて言うんですかね…。その日、その日で、今日しか来られないファンの人たちがいるんで。本当その人たちのために精いっぱいプレーしようって切り替えました。
チームが3連敗を喫した6日オリックス戦では、三塁守備で打球処理を判断ミスし、逆転負けのきっかけをつくった。試合後には「最近やっぱり守備で結構迷惑をかけているんで」と自らを責めたが、次の試合はやってくる。いつも大きな声援を送ってくれるファンのためにも、引きずってはいられない。強い気持ちで臨むと、最高の場面が巡ってきた。
同点の9回2死一、二塁で打席が回った。先輩の姿にも心を動かされていた。
清宮幸 (松本)剛さんが執念でつないでくれたんで、もうそれが乗り移ったなって感じです。打球を見ながら「うわぁ、捕られちゃったかな」と思ったんですけど、よかったです。
今季初めて1番でスタメンの松本剛が2球で追い込まれながらも、冷静に見極めて四球で出塁。チャンスを広げてくれた選手会長の必死な姿に、選手会副会長も燃えた。左中間寄りへの大飛球。右中間寄りに守っていた中堅辰己が追いつきながらも捕球できず、勝ち越しとなる2点適時二塁打となった。
清宮幸 ほんと(伊藤)大海さんのピッチングあってこそだったと思いますし、なかなか点が取れない展開でしたけど、ああやって剛さんが粘ってくれたんで。もちろん奈良間のヒットもあったし、みんなで取った点だったんじゃないかなと思います。
これで勝利打点はチーム9試合目で早くも3度目だ。チームのため。ファンのため。ひとりじゃないから。大丈夫、いける。みんなの思いを背負える清宮幸が、今季は何度も勝利に導いてくれる。【木下大輔】