
女性トラブルを認めて芸能界から引退した中居正広氏(52)に関する一連の問題を巡り、フジテレビ社員の関与が報じられた件について31日、都内の同局で午後5時から第三者委員会の会見が行われた。
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<1>トラブルに関わっていたとされる社員A氏(報告書内ではB氏)の関与の詳細とその処遇
2023年6月2日に起こった事案自体にB氏は関与はなく、中居氏の性暴力は「業務の延長線上」だったと報告書では認められた。清水社長は「事案への関与はなかった」とした上で「ただし、Bは他の類似事案もかなり出てきています。報告書で指摘されている限りでも、結構問題が多かった社員だと認識しています。事実関係を確認し、厳正に処分するつもりであります」と述べた。
<2>トラブル把握時、被害女性への対応の適切性
(報告書によると)本事案を当時の港浩一社長、大多亮専務、編成制作局長G氏が『プライベートの問題』と認識していることが女性Aに伝わり、『会社は守ってくれない』『会社から切り離された』として孤独感、孤立感を感じさせたものであり、被害者ケア・救済の観点からも不十分な対応であったとされた。
<3>女性社員にタレントを接待させていたとされる“上納”文化の事実確認
(報告書によると)フジテレビでは、有力な取引先と良好な関係を築くために、「性別・年齢・容姿などに着目して呼ばれる会合」が開かれ、呼ばれた社員やアナウンサーは取引先からハラスメント被害を受けるリスクにさらされ、現実にハラスメント被害も起きていた。全社的にハラスメントがまん延していた。
<4>中居氏のトラブルを把握しながらも出演番組を継続させた判断の妥当性
(報告書によると)港社長ら3人は、性暴力への理解を欠き、被害者救済の視点が乏しかった。フジテレビが女性Aに寄り添わず、漫然と中居氏の出演を継続させることによって女性Aの戻りたい職場を奪い、中居氏の利益のためとみられる行動をとったことは、二次加害行為にあたる。
<5>今後の再発防止策、組織改革の意図
第三者委員会は「ライツホルダー視点での人権侵害の被害者への対応」「人権尊重を基軸に据えた事業と経営の体制構築」「取締役会及び監査等委員会・監査役のコーポレートガバナンス機能の強化」「メディア・エンターテインメント業界全体で協働すること」の4点を提言。FMHは「ガバナンス体制 人権・コンプライアンスに関する対応の強化策」を発表。
<6>撤退が続くスポンサーへの今後の対応
報告書では社外取締役が中心となって、外部専門家のサポートも得ながら、再発防止措置の実践状況を定期的に開示して説明責任を果たすことが、スポンサーをはじめとするステークホルダーからの信頼回復のために必要とされた。清水社長は「やるべきことを1つ1つやっていく。報告書を精査して、改善の策、改善への姿勢を、一生懸命努力していく。それを継続的にやっていく姿勢を見せていく。過ちを隠さないで、開示していくことが大事。精いっぱい努力する姿を見ていただきたい」とした。
◆第三者委員会 1月23日にFMHとフジテレビの臨時取締役会を経て、日本弁護士連合会が策定したガイドラインに準拠して設置。委員長の竹内朗氏、委員の五味祐子氏と山口利昭氏の3名で構成。3月3日に委員だった寺田昌弘氏が一身上の都合により辞任し、山口氏が追加選任された。