絶え間ない行列に加わり、ようやく手に入れた2つ折りのパンフレット。何てことはない。そのインポーターで売られているクルマのオフィシャルフォトとスペック、車両価格を並べただけの質素な作り。(こういってはナンですが)お客としてカウントされていない物見遊山向けであることはあきらか。それでも嬉しかったんですね。普段は見ることができない憧れのクルマが目の前にあるんですから…。
そこへ行列のあいまを縫うようにすうっと道が開き、受付のゲートをくぐってブースの奥の部屋へと案内される1組のカップル…。おそらくはお客さんなのでしょう。いつかはあのゲートの奥に案内されてみたい。そう心に誓ったのでした。
これは、今年のモーターショーではありません。いまから28年前。1991年に開催された第29回東京モーターショー、コーンズブースでのできごと。このときのハイライトは、フェラーリF40 エボルツィオーネだったと記憶しています。そういえば、ジャガーXJ220なども展示されていました。この年、来場者数がはじめて200万人を突破したのです。そして1991年をピークに、来場者数が減っていくことになります。
そしていま、目の前にはフェラーリF40とF50が並んでいます。昭和と平成の時代を彩ったスペチアーレモデルを、まさか令和初の東京モーターショー会場で観られるとは思いませんでした(2台のフェラーリは同じオーナーさんが所有しているのだとか)。
カレントライフは「輸入車に特化したメディア」として運営しています。会場のレポートは細谷氏の記事をご覧いただくとして、筆者にできることは何だろう…。このことばかり考えていました。そこで導きだした答えは「輸入車メーカーのワールドプレミアが相次ぎ、モーターショーが華やかだった時代を知る世代の方たちに向けて記事にすること」でした。単に「あの頃は良かった」と振り返るのではなく、現実を直視しつつ、今後はどうなるのか、と、先を見据えていければと思っています。
潜入!『第46回東京モーターショー2019』~プレスデー膝栗毛~