
<広島7-1ヤクルト>◇22日◇マツダスタジアム
幸せの白星。広島大瀬良大地投手(33)が待望の今季初勝利を手にした。大量援護を背に7回まで110球を投げ、6安打1失点。マツダスタジアム通算最多勝利で並んでいたタイガース前田を抜く46勝目となった。好投しながら勝ち星を手にできず、愛息からプレゼントされた折り紙の白星を持参して得た勝利だった。大黒柱の勝利で、チームは3、4月の勝率5割以上を決めた。
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110球で7回を投げきった大瀬良は、グラブをポンとたたいた。大量援護を背に、慎重な投球を貫いた。7回まで3者凡退は3度のみ。走者を背負いながらも粘り強く、右腕を振った。失った1点の悔しさはグラブにぶつけ、あとは今季初勝利の瞬間を待った。
「やっと僕もスタートをした。いいときばかりじゃないと思うので、苦しいときに僕が投球でチームを引っ張っていけるように。いろんな形で貢献したいなと思っています」
昨季は1試合平均の援護点が両リーグワーストの1・76点だった。1試合平均2得点を下回ったのは1人のみ。防御率は1・86も、6勝止まり。今季も初登板の2日ヤクルト戦はリードして降板もその後に中継ぎ陣が打たれて白星が消え、前回までは2試合続けて登板中の援護点がなかった。だが、この日は序盤2回までの6得点で背中を押された。
本調子ではない大瀬良の背中を押したのは、打線だけではない。6回まで1安打投球の好投も、8回2失点で今季初黒星を喫した前回登板後に“白星”をもらった。帰宅すると、眠れずに起きていた今年5月に3歳となる愛息から折り紙でつくった白い星を手渡された。直前、テレビのニュースでパパが打たれる映像をみたばかりだった。「いつもは帰ったら寝てるんですけど、寝つき悪かったみたいで。“打たれて悲しかったよー”って。星をもらったので“次、頑張るよ”と」。お手製の白星を入れたかばんとともに球場入り。息子との約束を果たし、“2つめ”の白星となる今季初勝利を手にした。
マツダスタジアム通算46勝となり、昨季まで45勝で並んでいたタイガース前田を抜いて、同球場最多勝利を更新した。チームにとっても大黒柱の今季初勝利は大きな意味を持つ。新井監督は「何とか援護して大地に勝ちを付けてあげたいと野手陣もみんな思っていたと思うし、そういういい攻撃だった」とうなずいた。首位をがっちりキープし、3、4月の勝率5割以上を決めた。コイの季節へ向けて、新井広島は勢いを増していく。【前原淳】
▼大瀬良がマツダスタジアムで通算46勝目。45勝で並んでいた前田健太を上回って単独トップに立った。ちなみに広島市民球場での勝利数上位は、1位は北別府学107勝、2位は外木場義郎69勝、3位は川口和久67勝。