
<阪神6-3中日>◇11日◇甲子園
開幕右腕村上頌樹投手(26)が苦しみながら、今季初戦から無傷の3勝目をもぎ取った。初回1死一塁でカウント2-1からの4球目。中日上林に136キロカットボールを右翼へ運ばれた。3点リードの5回には1死一塁から代打カリステに左翼線適時二塁打を許した。5回の打席で代打を送られ、86球4安打3失点。04年井川以来、右投手に限れば77年江本以来の開幕投手3戦3勝という勲章を手に入れた。
「自分に勝ちがつくよりは、チームに勝ちがついたっていうのが一番大きいんで、勝てる試合だったので、なんとか落とさず投げられて良かったです」。勝利の瞬間、ナインをはにかんだ笑みで出迎えた。
この日は高めに浮いた変化球を中日打線に攻略された。「試合も寒い中だったんで。なるべく守りの時間を短くできるようにテンポは意識しました」。昨季最優秀防御率の中日高橋宏との投げ合いの中で野手へリズムのバトンを渡すことに集中した。
昨秋に藤川監督から初の開幕投手の大役を伝えられ、3・28へピークを持ってくることを意識した。「キャンプ初日からバンバン投げ込むのではなく、開幕に向けてしっかり調整していった」。今春キャンプの宜野座組最多の786球を投じたが、ブルペンでの連投も封印した。「(球数は)自分の中では少ない方だった。余裕や時間ができた。打たれたり、球があまりいっていない中で、開幕ってなったら心配になる。いい姿を見せられるように」。例年とは違うスキ間時間活用を好投につなげている。
ビジターで2勝を挙げたが、ホーム初登板で本拠地初勝利をチームにもたらした。指揮官も「さすが、いいエース」と、大黒柱と公言する。「自分も勝ちたい気持ちと、野手の皆さんも勝ちたい気持ちが、つながったと思います。リリーフの方々も無失点でつないでくれて、いい流れで勝てたと思う」。連敗ストップの中で、3戦3勝のエース右腕が一丸勝利の喜びをもたらした。【伊東大介】