
<阪神3-5ヤクルト>◇9日◇甲子園
また「魔の6回」…。阪神が6回一挙5失点で3点リードを守り切れず、藤川阪神の甲子園初勝利を逃した。3-0の6回、育成ドラフト1位から支配下登録を勝ち取った2番手・工藤泰成投手(23=四国IL徳島)が2暴投で2点を献上。さらに同点から堅守の一塁手・大山悠輔内野手(30)がまさかの本塁悪送球で2点を勝ち越された。チームは今季ホーム5戦で4度目の6回失点。開幕からホーム5戦白星なしは球団史上初の屈辱となり、2連敗で勝率5割に戻った。
◇ ◇ ◇
阪神がまたも負のジンクスに捕まった。3点リードの6回だ。5回まで無失点の先発ビーズリーが突如乱調。無死二、三塁のピンチで送られたのは3試合連続無失点中の工藤だ。だが、6日巨人戦では初ホールドもマークしたルーキー右腕も落とし穴にはまった。カウント2-2からサンタナへの5球目フォークが暴投で1失点。オスナは遊飛に打ち取ったが、山田に2つめの暴投で2点目を失った。さらに四球を与えた時点で降板を余儀なくされた。
「工藤に関しては成功体験も必要になるし、作っていくという意味では行かなければいけないところだから」。藤川監督は育成ドラフト1位から支配下に引き上げた新人右腕をかばった。ただ、1度明け渡した流れは簡単には戻ってこない。好調を継続してきた3番手及川が代打増田に同点適時打を許すと、直後の1死二、三塁でも悲劇が待っていた。強烈な一ゴロ。好捕した大山は難しい体勢から本塁に送球。これが三塁側に大きくそれて、2者生還で勝利は遠のいた。「僕のミスなので。申し訳ないです。ただ、それだけです」。欠場する佐藤輝の代わって今季初の4番を託された主砲は試合後、全責任を背負うように肩を落とした。
これで1日からのホーム開幕DeNA3連戦(京セラドーム大阪)を含め、ホーム5戦は引き分けを挟んで4連敗。DeNA3連戦とこの日を含め、4度も6回に失点している。1日DeNA戦は1失点とゲームメークしていた才木が1死から四球を挟んで4連打を浴びた。2日はビーズリー、3日はデュプランティエが捕まった。「なかなかつながりが出なかった。もう1本というところで最後、押し切れなかった。あの6回が確かにヤマ場でしたけどね」。指揮官は唇をかんだ。
今日10日以降も本拠地4試合が待つ。藤川監督は「また明日、しっかりといいゲームを何とかしたい」と力を込めた。負のデータを吹き飛ばす出直しを、静かに誓った。【伊東大介】