
<明治安田J1:神戸0-1新潟>◇6日◇第9節◇最終日◇国立
アルビレックス新潟は聖地国立でヴィッセル神戸を1-0で破り、開幕9試合目にして今季初勝利を挙げた。前半12分、MF長谷川元希(26)が個人技から決めたチームトップの今季4得点目が決勝点となった。ボール支配率では2連覇中の相手に圧倒されたが、しぶとく耐えて今季初完封。攻守がガッチリとかみ合った。昨季9月から続いたリーグ戦未勝利にも17で終止符を打った。次戦は9日、ルヴァン杯2回戦でJ3松本山雅FCとアウェーで対戦する。
念願の1勝目をもたらしたのは、やはり絶好調のファンタジスタだった。苦境下で開幕から全試合スタメンを守る長谷川が、前半12分、MF星雄次(32)が中盤で奪ったボールを拾うとドリブルで前進。ペナルティーエリア外から右足で、ゴール右へ、華麗なコントロールショットを流し込んだ。「(ドリブルに)相手が食いついてくれた。得意の位置。練習通りうまく打てた」。過去1分け4敗だった国立の鬼門も破り、今季イチの笑顔を見せた。
中央でこそ才能が輝く。J1初挑戦だった加入1年目の昨季は、主に左ワイドの位置でビルドアップの起点になる役割を与えられたが、ゴールは1点にとどまっていた。指揮官が変わった今季は、よりゴール付近でボールに絡む回数が多いトップ下かFWに入る。技術とアイデアが詰まったプレーで、相手DFにダメージを与え「初心にかえる、ではないけど、しっくり来る」と背番号を14からプロ2年目までJ2ヴァンフォーレ甲府でつけた41に変更。心機一転のピッチで、自らの才を楽しむかのように躍動していた。
昨オフに複数クラブから獲得の興味を示された中、残留を決意。今季ここまで挙げた3得点はいずれも勝利に結びつかなかったが、ようやく結果に直結。オフェンスだけでなく、最終盤に交代するまで足がつっても懸命のチェイシングを見せ、闘う姿勢でも仲間を鼓舞した。「本当にチームのために闘っている。3ゴール全て勝利につながらなかったので、今日は自分のゴールで勝たせられて、すごくうれしい」と納得した。
反攻の初白星。15年前の再現なるか-。今季と同様に10年も開幕8戦未勝利と苦しんだが、迎えた第9節で神戸を破って勢いづき、最終的に1桁順位の9位に食い込んだ。当時と同じタイミングで2連覇中の難敵を撃破し、ここから上昇気流に乗る。最下位からのジャンプアップに欠かせない技巧派は「自分たちが積み上げてきたものは間違いない」とうなずき、報道陣からの「チームとして、ここから勢いに乗って行けそうか?」という問いにも「間違いない」と、かぶせ気味に言い切った。【小林忠】