
<WEリーグ:新潟レディース1-0ノジマ相模原>◇第16節◇30日◇デンカビックスワンスタジアム
アルビレックス新潟レディースが1-0でノジマステラ相模原を下した。前半25分、MF滝川結女(25)がゴール前で自ら3度のシュートを試み、2本は阻まれるも最後の3本目で決めきった。自身リーグ5試合ぶりの得点で今季5得点目。ノジマ相模原相手に公式戦4戦4発と“キラー”ぶりも発揮した。チームもリーグ後半戦ホーム初白星を飾って、勝ち点を「27」に伸ばした。
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小雨の中、滝川が空を見上げ、かみしめるように満面の笑みをこぼす。前半25分、自身5試合ぶりの得点となる先制ゴールを決めた。「もう本当にうれしさ倍増。ホッとしたし、やっと決められたというか。本当にありがとうって感じ」。澄み切った笑顔が輝いた。
DF有吉からのクロスにワンタッチで右足を合わせたが、相手DFに阻まれた。目の前に来たこぼれ球に反応し、交わしてから左足を振るが、またしても相手DFに。それでも天は滝川を見放さない。3度目も目の前にこぼれてきた。「いや、もうさすがに決めなきゃ」。目の前にいたFW山本も後ずさりして譲るほどの執念。最後の3本目は左足でねじ込んだ。
3月2日から再開したリーグ後半戦から「何かが」違った。これまでの4試合でも惜しいシーンが何度かあっても、なぜか決めきれない。「何しても入らないというか、今までにない感覚」と言えば、「ゴールが怖い」とも表現した。
そんな恐怖心を払拭(ふっしょく)してくれたのは父健一さんだった。前節ホーム大宮戦後(1-1)、大号泣しながら電話した。送られた言葉は「周りのことは気にせず、結女がやりたいようにやりなさい。いつでも味方だから」。
家族の支えを身に染みて感じ取り、気持ち新たに臨んだ試合。シュートを2度阻まれ、トラウマが脳裏によぎった。それでも勝利につながった復活弾。試合後、「この経験は必ず次に生きる」と胸を張った。
これまでのサッカー人生になかった苦しみを乗り越えた先に、シーズン当初から掲げた「2桁得点」も改めて視野に入れる。「まだ試合も残ってる。自分自身もそこ(2桁得点)も狙いつつ、チームの中心になって、最後勝たせられる選手になりたい」。殻を破ったエースに、怖い物はもうない。【大島享也】
○…MF川澄奈穂美(39)が国内リーグ戦通算200試合出場を達成した。08年に当時なでしこリーグのINAC神戸からキャリアをスタート。14年にはは米国クラブにも移籍しながら、数字を積み上げた。節目の試合を勝利で飾り、「試合に出られることは当たり前ではないですし、それを1個1個積み重ねた結果、『あ、200試合出たんだ』と。感慨深い気持ちです」と声をはずませた。