
<日本ハム1-5ソフトバンク>◇1日◇エスコンフィールド
頼れるスラッガーが窮地を救った。ソフトバンクが開幕からの連敗を3で止め、北の大地で25年の初勝利を飾った。腰部の手術で戦線離脱した近藤健介外野手(31)に代わり、中村晃外野手(35)が2番DHで先発出場。今季は「代打1本構想」だったが、小久保監督が緊急事態を受けて起用法を変更。初回に先制を呼ぶ今季初安打を放つと、2回には追加点のタイムリー。ベテランが期待に即答し、開幕3連勝と波に乗っていた日本ハムを撃破した。
◇ ◇ ◇
「仕事人」はチームの窮地で、存在感を際立たせた。開幕カードのロッテに3連敗。さらに近藤が腰部の手術のため長期離脱を余儀なくされた。「開幕早々に緊急事態」。チーム状況を小久保監督は厳しい表情でそう表現した。「前言撤回になりますが…」と指揮官が切り出した善後策は、「代打専従」だったベテラン中村の先発起用だった。
「中村晃と話しをして、代打1本と言っていたけど、近藤、栗原がいない状況でDHや一塁もある。(中村と)2人で話しをして了承してもらいました」
小久保監督の言葉通り、スタメン2番に中村が入った。ホークスとは対照的に、開幕3連勝と波に乗る日本ハム撃破への苦肉の策だったが、見事にプロ18年目の男が重責を果たした。
初回だった。無死二塁から伊藤の151キロの直球を引っ張った。打球は一、二塁間を割った。今季初ヒットで一、三塁に好機を拡大。中村は一塁ベース場でガッツポーズをつくった。続く柳田が右前へ運び先制点をゲット。2回は1点を追加してなお2死二塁の場面でカットボールを右前に運ぶタイムリー。「とにかく強引にならないように、丁寧に打ちにいくことを考えました。2番に入り、次につないでいく意識がいい結果に結びついたと思います」。近藤の穴を埋めるマルチ安打&打点で、連敗ストップに貢献した。
「アキラ(中村)が1、2打席目に流れを持ってきてくれた」。試合後の小久保監督も開口一番、ベテラン打者の活躍をたたえた。春季キャンプに膝詰めで今季は「代打1本」を2人で確認。新たなシーズンに挑んだが、思わぬ方向転換でも鷹の仕事人はきっちりバットで答えを出した。昨シーズンは「引退」の2文字も脳裏をよぎったが、チームのために滅私の気持ちは誰よりも強い。試合後はひとり、球場に残ってウエートトレに汗を流した。
今季1勝目。大きな白星を頼れるバットマンが運び、鷹が上昇気流に乗る。【佐竹英治】