
<中学硬式野球 第31回日本リトルシニア全国選抜野球大会>◇31日◇準決勝◇大阪・大阪シティ信用金庫スタジアム
決勝は3年前の決勝と同じ、世田谷西(関東連盟)と奈良西(関西連盟)の顔合わせになった。
【流れをつかんだ185センチ右腕】
世田谷西は堺泉北(関西連盟)に逆転され2点リードされた3回裏、元木瑛介(3年)が冷静に四球を選ぶと、4番・浅田宋次■(■は朗の旧字体)(3年)が二塁打を放ち、敵失が絡んで1点差に。犠打で1死三塁として、川本琉生(3年)の右前打で同点。なおも2死一、二塁から代打・井上大雅(3年)が左前打で勝ち越すなど、この回4点を奪った。
主導権を取り戻した4回表に今大会初登板の3番手・奥村太郎(3年)を起用。185.8センチの右腕は角度のある直球を主体に2イニングを無失点。勢いを取り戻した打線が5回裏までに5点を追加して、11-4でコールド勝ちした。
初戦に救援登板するはずが、味方がコールドを決めて機会を逃していた奥村は「ほかの投手がみんな調子がいいんで。守備のみんながよく守ってくれました」と謙虚な姿勢。
春の甲子園で横浜・奥村頼人投手の活躍が話題になっていたが「無関係なんですが、テレビの実況で『奥村、ナイスピッチング』と聞こえるだけで、気分がよくなってました」とユーモアも持ち合わせている。
4回にも適時三塁打を放つなど3安打の浅田も、試合の流れを大きく変える活躍だった。「決勝も勝ちたい。全員で1個、1個アウトをとっていく野球がセタニシなので、全員で勝ちに行きたい」。準々決勝は先発登板したが「今日も奥村がストライクが入らなかったら、僕の番だったんです。奥村、ナイスピッチングです」と、仲間の好投を喜んだ。
【最後は奇襲でダメ押し】
奈良西は1点リードの6回1死二、三塁。小村颯之介(3年)が追い込まれたところで、三塁走者がスタートするヒットエンドラン。外角のボール気味だったが、ボテボテの三ゴロを転がし、貴重な追加点を奪うなど6-3で逃げ切った。
軟式野球では常套手段の「たたき」だったが、土居和彦監督は「5-3で勝つのが理想ですが、今日は6点取れました」とにっこり。
強力打線を相手に木村圭一郎(3年)が86球で完投。決勝のマウンドにも上がれる球数に抑えたのは朗報だった。木村は「5回ぐらいから力を抜いて投げたら、制球もキレもよくなってきた。うまく打たせてとれました」と胸を張った。
3年前の決勝は準優勝に終わったが「めっちゃ強い相手。僕らは挑戦者ですから思い切っていきます」と抱負を語った。
強力打線の青森山田だったが、先頭打者が1度も出塁できなかったのが痛かった。21、22年に日本選手権を連覇以降、全国大会は3位止まり。今大会も東北勢初の春の決勝進出を逃した。中條純監督は試合終了と同時に、円陣を組ませて「一瞬の活躍じゃなく、準備からしっかりやらないと、3位の壁は越えられないぞ」と激励した。
尾崎凱來主将は「監督は、まだ春、夏があるとも言ってくれました。自分たちで勝ちきらないと、相手に決められてしまう。一致団結して勝ちきりたい」と涙をこらえた。
▶準決勝
世田谷西 11-4 堺泉北
奈良西 4-3 青森山田
【4月1日の組み合わせ】
▶決勝
9時 世田谷西-奈良西