
<センバツ高校野球:横浜5-1健大高崎>◇28日◇準決勝
令和の怪物が覚醒した。昨秋の明治神宮大会で優勝した横浜(神奈川)が、連覇を狙う健大高崎(群馬)の剛腕を攻略し、19年ぶりの決勝進出を果たした。投げては、2年生の織田翔希投手が7回を6安打無失点の快投。レジェンドOBの松坂大輔氏が、かつて「平成の怪物」と呼ばれたように、令和の横浜から再び「怪物」が誕生した。新チーム発足から負けなしの18連勝で、7年ぶり決勝進出の智弁和歌山と紫紺の大旗をかけて争う。29日は休養日で、決勝は30日午後0時半開始。
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プライドを捨てた横浜の石垣対策が実った。4回途中、健大高崎の石垣がマウンドに上がると、選手たちは「やっと来た!」と声をあげた。準備は万全。攻略に自信があった。
前日27日の練習。バッティングマシンの球速を約150キロ、さらに石垣の球と似た軌道に設定して目を慣らした。3番阿部葉は「石垣君の真っすぐは『ドカン』っていう速球。バッティングマシンの球とよく似ていた」と言う。「力んだらバットが出ない。バットをしっかり走らせ、コンパクトに強く打つイメージ」とノーステップ打法で早めにタイミングを取った。他の選手たちもバットのグリップを指1本分、短く持って勝負に臨み、1~5番まで四球を挟んで4連打と、代わったばかりの剛腕に襲いかかった。村田監督は「本当はバットを長く持ってガーンといきたいはず。でも勝つならそのプライド捨て単打でパチパチいこうと」。勝利に徹し、最速158キロ右腕を攻略した。