
<センバツ高校野球:健大高崎9-1花巻東>◇26日◇準々決勝
春の甲子園の終わりに涙が止まらなかった。土で真っ黒に染まったユニホームに身を包んだ花巻東の古城大翔内野手(2年)が、自身2度目の甲子園を後にした。「何一つ、チームに貢献出来なかった」。初戦は右上腕部肉離れで欠場。チームが勝ち上がったことで、諦めかけていた今春のセンバツ出場がかなった。「勝つことだけを考えていたので、痛みは全く感じませんでした」と打席では常にフルスイング。6回無死一塁は併殺打に倒れたが、一塁へ渾身(こんしん)のヘッドスライディングを見せた。
大会屈指の剛球右腕との対戦に球場中が注目した。8回から健大高崎のエース石垣が登板し、2死1塁。3球で追い込まれた。4球目の154キロ直球に食らいつきファウルにしたが、最後はスライダーにバットが回った。父の巨人古城茂幸内野守備走塁コーチ(49)の「甲子園は雰囲気で試合をするのではなく、相手ピッチャーと試合をする場所だ」という教えを胸に刻んでいたつもりだったが、この日は1球ごとにどよめく甲子園に圧倒された。
父のように偉大な選手になって、甲子園に帰ってくるつもりだ。古城は「(父は)憧れであり、本当に尊敬している存在です」と話す。13年に行われた引退セレモニーが今でも忘れられない。「多くの選手に支えられている姿を見たので、自分もそういう存在になりたいです」。父であり、世代を超えて愛される選手の背中を追い続ける。【木村有優】
○…甲子園初マウンドは、ほろ苦いものとなった。1-9の8回2死。赤間史弥外野手(2年)が、左翼の守備位置からマウンドへ。ストレートの四球を許したが、高橋蓮太郎捕手(3年)の好判断に助けられ盗塁死で切り抜けた。「課題が残る内容だった」と赤間。珍しい左投げ右打ち。投打二刀流を目指す有望株は「投げやすいマウンドだったので、夏に戻ってきたいです」とリベンジを誓った。