＜センバツ高校野球：花巻東6－3二松学舎大付＞◇23日◇2回戦
花巻東（岩手）が二松学舎大付（東京）に6－3で勝利し、7年ぶりの8強入りを決めた。7回途中から登板した2年生左腕の万谷堅心投手（2年）が毎回の奪三振で3回3安打1失点。甲子園デビューを果たした初戦の米子松蔭（鳥取）戦でも8回から登板し2回3安打1失点と、2戦続けて相手に流れを渡さない投球で試合を締めた。次戦は昨春王者の健大高崎（群馬）と対戦する。
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万谷が憧れと同じ左腕で8強一番乗りをたぐり寄せた。4－0の7回無死一塁から、先発の金野快投手（3年）が浴びた左越え2点本塁打を見て、気が引き締まった。「（金野）快さんが7回まで投げきってくれたので、あとは自分が点を取られないで、チームを勝たせる役割だと思った。しっかりいい準備をしてマウンドに上がることができました」。立ち上がりこそ失点したが8回以降は低めに集め、勢いに乗る相手打線をしっかりと抑えた。
同じ左腕で同校OBのエンゼルス菊池雄星の背中を追う。万谷は09年、菊池がセンバツ準優勝を果たした約2カ月前の1月28日に生まれた。当時の投球を映像で見て「こういうピッチャーになりたいと思いました」。キレのあるストレートや変化球に憧れた。
昨秋には、菊池やドジャース大谷翔平らも背負った出世番号の17番を背に、躍動した。東北大会準々決勝では高校初完投をマークするなど、着実に力をつけた。この春に甲子園デビュー。「こういう大きい舞台で緊張するんですけど。自分、気持ちが弱い部分があって」と言うが、初戦の米子松蔭戦に続いて、2戦連続で好救援。「今回は気持ちの部分で、雰囲気にのまれないように強い気持ちで臨むことができた」。かつて背負った出世番号にふさわしい活躍を見せている。
最後の打者を空振り三振に切り、高橋蓮太郎捕手（3年）の一塁への送球を見届けて、ガッツポーズ。左拳を力強く握った万谷だが、まだまだ満足はしていない。「まだ雄星さんの準優勝という結果を越せていないので、まず次の試合。1戦1戦全力で戦っていきたい」。名だたる先輩たちも達成できなかった甲子園優勝へ、さらに磨きをかけていく。
◆母校対決 日本人大リーガーの母校対決は菊池雄星、大谷翔平を輩出した花巻東が、鈴木誠也の二松学舎大付に勝利。最近の主な例では16年夏に松坂大輔らの横浜が佐々木主浩、ダルビッシュ有らの東北を7－1で破った。イチローの愛工大名電は22年夏、14－2で松井秀喜の星稜に勝利。23年春には西岡剛、藤浪晋太郎の大阪桐蔭が吉田正尚の敦賀気比に3－1で勝った。
○…花巻東は長打力がある選手は木製バットを使用する。6番・高橋蓮も今春から同バットに切り替えた。この日も2安打1打点。「金属バットだとボールに対してアバウトに打ってしまいますが、木製バットは詰まると手が痛いので、無意識に芯に当てようとします」。同バットを使用する古城大翔内野手（2年）、赤間史弥外野手（2年）とともに、打線をけん引する。
○…普段は一塁手の新田光志朗（3年）だが、この日は右翼手で先発。「甲子園は風があるので、とにかくセンターと声をかけ合いました」。脇腹を痛めている古城が一塁に入ったことで、慣れない外野守備に回った。古城には「連携が多いポジションだから、声をかけ合って」と助言し、練習では一塁手用のミットも貸した。大事にしているコミュニケーションがチームの無失策につながった。
