
<センバツ高校野球:花巻東6-3二松学舎大付>◇23日◇2回戦
花巻東の4番が帰ってきた。右上腕二頭筋肉離れで初戦を欠場した古城大翔内野手(2年)が復帰戦で怪力を見せつけた。3回1死二、三塁の好機で導かれるように打席が回ってきた。
「ケガでチームに迷惑をかけた分、(ランナーを)かえそうという思いで頭がいっぱいだった」
138キロの高め直球をフルスイング。飛球は木製バット発とは思えないほど左翼に高く舞い上がり、先制犠飛となった。
「(回復度は)80%くらい」としながら復帰後初打席ではノーステップで中前打。3打席目には左翼ポール際に特大ファウルを放つなど状態は上向きだ。
相手はカブス鈴木の母校でもある二松学舎大付(東京)。MLB東京シリーズでカブスに2連勝した大谷先輩に負けじと、メジャーリーグ母校対決を制した。
この日は追い込まれてからノーステップ打法を採用。飛距離が出にくいとされるノーステップも大谷を参考にしていた。「(大谷)翔平さんの打撃のスロー映像を見ると、ねじりや分離の部分で力の伝え方がよく分かります」。何度も動画を視聴し、冬に1日1000本振り込んだ成果を出した。
準々決勝では前年度王者、健大高崎(群馬)と対戦する。佐々木監督は「オーダーの中に(古城の)名前があるのとないのとでは意識が違うというか、経験もあるので頼りにしています」と信頼する。完全復活はもう間近。帰ってきた主砲とともに「岩手から甲子園優勝」を目指す。【木村有優】
〇…巨人古城内野守備コーチ(花巻東でプレーする息子大翔の活躍に)「勝って良かったなと思います。次も頑張ってほしいですし、日本一を目指して頑張ってほしいです」
◆古城大翔(ふるき・だいと)2008年(平20)6月4日生まれ、横浜市出身。小学1年時に軟式野球チームの山田バッファローズで野球を始め、中学時代は都筑中央ボーイズでプレー。花巻東では1年春からベンチ入り。昨夏の甲子園では滋賀学園戦で初戦敗退も4番で4打数2安打。父は巨人1軍内野守備コーチの茂幸氏(49)。180センチ、94キロ。右投げ右打ち。
◆母校対決 日本人大リーガーの母校対決は菊池雄星、大谷翔平を輩出した花巻東が、鈴木誠也の二松学舎大付に勝利。最近の主な例では16年夏に松坂大輔らの横浜が佐々木主浩、ダルビッシュ有らの東北を7-1で破った。イチローの愛工大名電は22年夏、14-2で松井秀喜の星稜に勝利。23年春には西岡剛、藤浪晋太郎の大阪桐蔭が吉田正尚の敦賀気比に3-1で勝った。