<全国高校サッカー選手権:静岡学園2-0高川学園>◇2日◇3回戦◇浦和駒場
「トルメンタ(スペイン語で嵐)」で話題の高川学園(山口)が、技巧派集団・静岡学園の自在なプレーにいなされた。
注目されたトルメンタは、前半2回あったCKで1回出した。しかしうまく決まらず。0-0で折り返し、勝負の後半はCKがゼロ。秘策があっただけに、悔やまれるところだった。
江本孝監督は「おもしろいことやろうとしていたんですよ。トルメンタのさらに進化形をやりたかった。昨日も選手たちが、先発メンバーもサブもみんなで会話しながらやっていた。もう1、2本でもCKがあればおもしろかった。ちょっと精彩欠きましたね」。
トルメンタとは、CK時にペナルティーエリア手前で選手たちが輪になり手をつなぎ、グルグル回ってからゴール前へ散って入って行くトリック。かく乱することでフリーとなり、そこからゴールを狙った。
セットプレーについては、1年かけて選手たちが独自に作り上げたものだ。沖野眞之介主将(3年)は静岡学園の個々のレベルの高さを実感。「DFラインが強い選手が多くて、攻めきれずに終わった。セットプレーで最後にトルメンタを見せられなかったのは悔しいところです」。ちなみに準備していた新たなトリックは「6つくらいありました」という入れ込みようだ。
試合を通してみれば、少ないチャンスの中に絶好機はあった。途中、1点を追う展開だっただけに決定力が勝負のポイントとなった。江本監督は「課題が出ました。全国に出て、毎年出てくる課題を持ち帰り、また強いチーム作りに生かしたい」と話した。
トルメンタにフォーカスされがちだが、2回戦で前回大会王者の青森山田を破った攻守はたたえられるもの。10番を背負ったエースFW大森風牙、ファインセーブを連発したGK高城柊哉、ボランチとして奮闘したMF宮城太郎らレギュラー2年生が残るだけに、この経験は来年度にまた生かされそうだ。