EY調査、EHS(環境・労働安全衛生)の取り組みが企業価値向上に影響
・EHS(環境・労働安全衛生)パフォーマンスが向上している企業は、財務業績や社会的パフォーマンス、規制への対応も向上
・EHSのパフォーマンスが優れた企業は平均的な企業に比べ、純利益や収益、時価総額の増加スピードが速い
・EHS成熟度が高い企業は従業員の離職率が低く、法的リスクやレピュテーション問題の抑制も期待
EYは、最新のサステナビリティ/EHS(環境・労働安全衛生)関連の調査レポート「EYグローバル EHS(環境・労働安全衛生)に関する成熟度調査2024(EY Global EHS Maturity Study)」(以下、「本調査」)を発表したことをお知らせします。
本調査では、日本を含む世界の9,000社に及ぶ企業データおよびアンケート調査を分析し、企業のEHS(環境・労働安全衛生)の取り組みが財務業績や社会的パフォーマンスに及ぼす影響について考察しています。その結果、EHSパフォーマンスの成熟度が、企業の価値毀損(きそん)の回避のみならず、財務・社会・規制対応面で企業価値の向上に寄与することが分かりました。
企業の倫理的な取り組みが、消費者や投資家の意思決定を左右する状況の中、企業のEHSの取り組みは重要なシンボルとされてきましたが、一方で、EHSパフォーマンスの向上と企業の財務業績との関係性については長らく明らかにされてきませんでした。
本調査では、EHSの成熟度を高めることが企業の全体的なパフォーマンスにどのように影響するのかを調査しました。本調査の結果、EHSパフォーマンスが優れた企業は、EHSパフォーマンスが平均的な企業に比べ、収益の上昇幅や時価総額の上昇幅が平均的に高くなる傾向にあることが分かりました。
また、EHSパフォーマンスが優れた企業は、従業員の離職率が低下したほか、EHS関連の論争の発生頻度を最小化することで、法的問題やレピュテーション問題のリスクを抑えられるなど、社会的なメリットも期待できることが分かりました。
さらに本調査では、EHS成熟度が特に高い企業に顕著に見られる特徴についても調査しました。その結果、EHSランキングが上位の企業に共通して見られる取り組みとして、EHSパフォーマンスと役員報酬の連動や、EHS指標に基づく褒賞制度の導入などが明らかになりました。その他にも、本調査では、戦略策定や組織システム、内部監査やテクノロジー活用など、企業が講じることのできるEHSの取り組みを示しており、それらは必ずしも大規模な投資を必要とすることなく、あらゆる企業において導入可能であることが分かっています。
これらの結果から、EHSの取り組みを行うことで、企業はオペレーショナルエクセレンスを強化できる可能性があり、低コストでありながらインパクトの大きい取り組みを実施することで、企業の財務業績や社会的パフォーマンス、規制への対応が向上する可能性があることが明らかになりました。
EY Japan 気候変動・サステナビリティ・サービス(CCaSS) EHSリーダーの茂呂 正樹(もろ まさき)のコメント:「EHS管理は長らく定性的にのみ語られ、検討されてきました。最低限の管理のみにフォーカスするコンプライアンス順守のフェーズから、少し先を見据えた予防的取り組みのフェーズ、そしてさらに先の積極的なEHS管理フェーズ、とEHS成熟度を上げていくことが目指されてきました。その成長を追い求めていく理由については、『その方が良いだろう』という定性的な思いに立脚していたと思われます。今回の大規模調査では、実際にEHS成熟度がどの程度企業の業績と相関し、企業価値に影響を与えるかを分析しました。その結果EHS成熟度向上のための投資は、単なるコストではなく、企業価値向上への戦略的投資であり、経営戦略の一環としてその価値を改めて見直す必要があることが分かりました」
レポートの詳細は、以下のEY Japanのウェブサイトからご覧ください。
EYグローバル EHS(環境・労働安全衛生)に関する成熟度調査2024(EY Global EHS Maturity Study) | EY Japan
<調査方法>
EYは2023年夏に、企業業績を示す11指標とEHSパフォーマンスを示す6指標を統計的に分析し、EHSパフォーマンスと企業業績(財務業績や社会的パフォーマンス、規制への対応など)の関係を評価しました。今回の分析では、Americas(北・中・南米)、EMEIA(欧州、中東、インド、アフリカ)、Asia‐Pacific(アジア・パシフィック)地域に本社を置く、直近の会計年度の時価総額上位9,000社から成る包括的なデータを使用しています(出典:Refinitiv)。また、2023年8月4日から8月23日にかけてオンラインアンケート調査も行い、412件の回答を得ました。回答者は、EHS部門のディレクター/シニアマネージャー、エグゼクティブ/バイスプレジデント/部門長などです。本記事では、この分析結果の要約のみを紹介します。
<EYについて>
EY | Building a better working worldEYは、「Building a better working world~より良い社会の構築を目指して」をパーパス(存在意義)としています。クライアント、人々、そして社会のために長期的価値を創出し、資本市場における信頼の構築に貢献します。150カ国以上に展開するEYのチームは、データとテクノロジーの実現により信頼を提供し、クライアントの成長、変革および事業を支援します。アシュアランス、コンサルティング、法務、ストラテジー、税務およびトランザクションの全サービスを通して、世界が直面する複雑な問題に対し優れた課題提起(better question)をすることで、新たな解決策を導きます。EYとは、アーンスト・アンド・ヤング・グローバル・リミテッドのグローバルネットワークであり、単体、もしくは複数のメンバーファームを指し、各メンバーファームは法的に独立した組織です。アーンスト・アンド・ヤング・グローバル・リミテッドは、英国の保証有限責任会社であり、顧客サービスは提供していません。EYによる個人情報の取得・利用の方法や、データ保護に関する法令により個人情報の主体が有する権利については、ey.com/privacy をご確認ください。EYのメンバーファームは、現地の法令により禁止されている場合、法務サービスを提供することはありません。EYについて詳しくは、ey.com をご覧ください。
<EY新日本有限責任監査法人について>
EY新日本有限責任監査法人は、EYの日本におけるメンバーファームであり、監査および保証業務を中心に、アドバイザリーサービスなどを提供しています。詳しくはey.com/ja_jp/people/ey-shinnihon-llcをご覧ください。
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