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手作りの6輪F1タイレルP34を追え!Vol.1


■手作りの6輪F1タイレルP34とは? 茨城県水戸市にある「カスタムビルド&レストア WATAHIKI(以下、CBR WATAHIKI)」代表の綿引雄司氏が、仕事の合間を縫って手作りで製作している、6輪が特徴的なF1マシン「タイレルP34」。 その完成度の高さから、ネット上ではタイレルP34のコンプリートマシンを綿引氏が所有していると誤解されることもしばしばだ。 また「タイレルP34のレプリカ」と評されることもあるが、綿引氏独自の解釈で製作された箇所も少なからずある。 そのため、忠実なレプリカというわけではない。 つまり、この「レプリカ」という表現がこのマシンに当てはまるかどうかは人それぞれの解釈に委ねたい。 むしろ、イベントやCBR WATAHIKI(事前にアポイントを取れば実物を見せてくれる)に赴けばホンモノさながらのタイレルP34が間近で観られるのだ。 この事実に素直に感激し、喜ぶべきなのかもしれない。 製作者である綿引氏によると、このF1マシンが存在することは、タイレルのルーツでもあるケン・ティレル氏のご子息、ボブ・ティレル氏も把握しているという。 しかも、ボブ・ティレル氏は好意的に受け止めてくれているとのことだ。 ■製作者のCBR WATAHIKI代表 綿引雄司氏とは? 綿引氏の父親が代表を務めていた、60年近い歴史を持つ「巴自動車商会」のカスタムビルド・レストア部門として設立されたのが「CBR WATAHIKI」だ。 その代表を兼ねるのが綿引雄司氏というわけだ。 「カスタムビルド&レストアWATAHIKI」では、クラシックポルシェをはじめとする国内外のクルマ(主にクラシックカー)の鈑金修理・カスタマイズ・レストアを行っている。 綿引氏ご自身がスーパーカー世代であり、その時代を象徴するような国内外のスーパーカーが工場内に佇んでいる。 ランボルギーニ ミウラやロータスヨーロッパ、ポルシェ911や914など・・・。 スーパーカー世代にとってはこれだけでヨダレものの光景といえるだろう。 しかも、むき出しのフレームの個体もあり、ここでしか観られない姿という点においてもかなり貴重な光景だ。 これらの名車が工場内にあるということは、綿引氏の実力を象徴する何よりの証であり、タイレルP34の製作で得たノウハウがスーパーカーの復活にも一役買っているに違いない。 実は、GGF-T代表・赤間 保氏が企画した「あひるのジェイ プロジェクト」の一環として、綿引氏に製作が依頼されたのがランボルギーニ イオタのオブジェだったのだ。 2019年、オブジェとして完成させた作品をイタリア本国「ムゼオフェルッチョランボルギーニ」にて展示され、現地でも話題となった。 その後、トリノ国立自動車博物館に収蔵後、現在はフェルッチョ・ランボルギーニ博物館にて保管されているという。 まるで漫画や映画のストーリーがそのまま現実になったかのようなロマンすら感じさせる。 その模様はGGF-Tのブログでも紹介されている。ぜひご覧いただきたい。 ●イタリア トリノ国立自動車博物館を「アヒルのジェイ」がジャックしました! https://www.ggf-t.co.jp/blog/2020/03/16/124819 *YouTubeで動画を配信している「ぺーさんxyz」氏が、イオタの製作過程を詳細にまとめた素晴らしい動画を9月15日に公開した。こちらも超がつくほど必見だ。 The story of how an ordinary aluminum plate is reborn as a Lamborghini Jota [Part 1]https://youtu.be/S0q4CpvzUNY ■手作りの6輪F1タイレルP34の進化 ご縁あって、ここ数年間、綿引氏が手掛けるタイレルP34の製作過程を見る機会に恵まれた。 このマシンが、アルミの板から生み出された何よりの証となる画像をご紹介したい。 本来の業務が終わったあと(つまり夜間だ)や、休日を返上して作業が行われてきた。 綿引氏がハンマーでアルミの板を叩き、鋼材を切り、それらを溶接する・・・。 気の遠くなるような作業のこの繰り返しでタイレルP34の美しいフォルムが「生み出された」のだ。 文字通りゼロから創り上げているのだから、図面も綿引氏自ら引き、現物合わせで修正を行い、トライアンドエラーの結果がこのタイレルP34というわけだ。 綿引氏が手を止めれば、そこで作業も止まってしまう。 そして、スズキのGSX1300Rハヤブサの1.3L直列4気筒エンジンがトランクアクスルごとシャーシに載り、ブレーキが組み込まれ、ステアリングとサスペンションアームが接合される・・・。 クラシックミニのフロントハブ(10インチキット)を使えば10インチで収まると想定し、見事に的中。 そしてステアリングのギアボックスはポルシェ911、ナロー時代のものを流用。 リアホイールはスペーサーやアタッチメントを組めば使えるだろうと判断し、センターロックで固定するF3000用のものを装着。 そして、エンジン&ミッションはGSX1300R ハヤブサのものを流用。 デフはスズキ カプチーノ、ドライブシャフトおよびリヤハブはランチア デルタ インテグラーレ用のものを流用。 リアサスは、スズキのGXS-S1000というネイキッドタイプのバイクのモノサスの長さがネット上に記載されていたのを確認したうえで流用しているという。 このスペックに目を通していただければお察しいただけるだろうが、F1タイレルP34は飾るためのクルマではない。 当時のイメージさながらにクローズドコースを掛け抜けるためのマシンなのだ(ただし、綿引氏がタイレルP34を駆って本気でサーキットを攻めるために造られたものではない、ということも追記しておきたい)。 ■1976年仕様のカウルが完成 1977年仕様のタイレルP34が完成したあと、綿引氏は1976年仕様のカウル製作にも本格的に着手した。カラーリングやカウルのシルエットが異なるため、印象が激変する。 これが現時点での仕様だ。 ここからいちどタイレルP34はバラされ、細部の微調整やドライサンプキットの取り付けなど、走るための身支度を行っている真っ最中だ。 取材時にネットオークションで入手したというGSX1300R ハヤブサ用ドライサンプキットを拝見したのだが、現物だけで取扱説明書はなし。 手探りでタイレルP34に組み込むことになる。 文字どおりの現車合わせ・現車セッティングだ。 この様子が綿引氏のYouTubeチャンネルでも公開されているので、ぜひご覧いただきたい。 ●タイレル 隼用ドライサンプキット取り付け前編 https://www.youtube.com/watch?v=GhHrUwFejgI この記事を編集している最中に、綿引氏から株式会社中村機械(富山県)が手掛けたアルマイト仕上げのホイールも到着とのことで画像が送られてきた。 綿引氏より掲載の許可をいただいたので、以下にご紹介したい。 お気づきのように、これで完成・・・ではなく、これから先もまだまだ進化していくのだ! ■これから定期レポートをお届けします! イベントで展示するときなど、専用のステップ(これも綿引氏の手作りだ!)を用意して、運転席に座れるようにしている。 コクピットに座れば、その視界の低さに驚くだろう。 老若男女問わず、F1パイロットの気分が味わえるのだ。 今後も、タイレルP34の製作風景を定期的にお届けする予定だ。 ぜひご期待いただきたい! ■巴自動車商会/カスタムビルド&レストア WATAHIKI 店舗情報 住所:〒310-0912... ...続きを読む
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