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桂小春団治「何かにたけた人間って何かに欠けてる」 芸能人と一般人の違いに「ズレは堪忍して」


落語家の桂小春団治(66歳)は、大阪市の松竹芸能で独演会についての取材会を開き、意気込みを語りました。彼は「1年で一番汗をかく時期」と表現し、毎年恒例の厳しいチャレンジを続けています。今年は、「あんま炬燵」と「普通の境界線(仮)」を披露する予定で、特に2代目桂春団治が得意とした「あんま炬燵」を新たに覚える意欲を示しました。また、放送禁止用語の取り扱いについて自身の考えを述べ、古典落語の言葉を現代的にしすぎることへの懸念を示しました。一方で、普段の生活における「普通」の基準に触れ、「何かに突出している人は何かが欠けている」とし、芸能人が一般的な尺度で評価されることへの違和感を表明しました。彼の独自の視点が、古典と新作の落語にどう活かされるか注目されます。

独演会への意気込みを語った桂小春団治(撮影・阪口孝志)

落語家桂小春団治(66)が14日、大阪市の松竹芸能で「桂小春団治 独演会」(30日、朝日生命ホール)の取材会を開いた。

77年に3代目桂春団治に入門。噺家(はなしか)生活20年の頃から毎年行ってきた恒例の独演会を今年も開催する。ゲストにはウクレレ漫談のぴろきを招く。

これまでの独演会では、まだ演じたことのない古典と創作落語のネタ下ろしを続けるという過酷なチャレンジを続けており、「1年で一番汗をかく時期」。今年は「あんま炬燵(こたつ)」と「普通の境界線(仮)」を披露する予定だ。

「あんま炬燵」は2代目桂春団治が得意としたネタで「一門として、2代目、3代目のネタを新たに覚えてやっていきたい」と意欲を見せた。

落語には現在、放送禁止用語扱いとされている言葉が多く、「あんま」も同様。それが影響してか最近は演じる人も少なくなっているが、かつて障がい者と「笑い」と「差別」について対談したこともある小春団治は「僕は差別っていうのは、発している人間の気持ちが、その言葉の中にどう反映されているかであって、言葉そのものが悪いのではないと思う」ときっぱり。

現代の言葉に置き換えることで時代背景が見えにくくなることもあると感じており、「現代的にすればいいところはすればいいけど、せっかく昔の雰囲気を描いているものを、言葉ひとつで変えてしまうのも。それを意図してギャグとして入れるのはいいけど。だから、僕は古典落語はあまり手を加えないんです。現代物にしたいなら、新作で作ればいいしね」と持論を語った。

一方、「普通の境界線」については「普通って人によって度合いが違う。その辺の微妙なものを醸し出したい。日本人って忖度(そんたく)であったり、空気を読むであったり、グレーゾーンを読み取る国民性。それが暗黙の了解で存在しているというのを具体的に出せるような噺(はなし)になれば」と意気込む。

ネタにちなみ、落語家と一般人の「普通」の違いが話題になると、「落語家に限らないですけど、俳優でもお笑いさんでも、一般人よりルーズに思われがち。モラル、時間、金銭感覚…」と挙げ、「何かにたけた人間って何かに欠けてる。才能が突出してる人ほど、何か大きな一般人の常識みたいなものが欠けてる」と指摘。それをフォローするためにマネジャーが存在していると語った。

小春団治自身も「物をもらい慣れてるのかな。『あ、ありがとうございます』って。相撲取りの『ごっつぁんです』みたいに。一般人はそんな特産品を送ってもらったりとかないかもしれないし」とした上で、「何か常識的に欠けてるけど、パフォーマンスが突出してるんで、あまり一般的な尺度で芸能人を合わさんといてほしいのはありますね。逆に、まじめにやってると『最近の芸人はサラリーマンみたいになってる』と言われる。どっちやねんって。言うたら、芸人なんてダメなやつしか集まってない。一般的な仕事ができないですから。ズレてるのは堪忍してほしいな」と苦笑していた。

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