サスカチュワン大学で、脳の3DモデルがVR上に作成された。これはカナダで初めての脳モデルだという。
この情報はSaskatoon StarPhoenixが伝えた。また、Global Newsも同じ研究成果を取り上げている。
サスカチュワン大学で心理学の博士号を取得し、現在は認知と神経科学を研究しているチェルシー・エクストランドはVRで脳内を探索できるようにした。
彼女は、2年前にMRIスキャンの情報を元に脳の3Dモデルを作成する研究に協力した学生だ。プログラミングの経験を持たなかった彼女は、試行錯誤を繰り返しながらモデルの作成を成功させた。その成果は、メンデス博士が複雑な脳の手術を計画するために活用された。
今年になって、メンデスは再び彼女の手を借りることになった。VRで脳をオブジェクト化するプロジェクトがスタートしたからだ。そのためには、VRを専門とする地元企業Sprocketyが利用できる形式にMRIのデータを変換する必要があった。
SprocketyはVRの専門企業であり、医療系の企業ではない。脳とプログラム、両方の知識を持つ彼女の力が必要だった。
コンピュータは、ある程度までMRI画像からVRオブジェクトを作成できた。しかし、ブロックを組み立てるようにして彼女自身がオブジェクトを構築しなければならない場面もあった。
特に難しかったのは、脳の様々な部位同士を繋ぐコードのような構造だという。これをSprocketyが使うファイル形式に変換するのは「ビックリするほど」難しかったというが、彼女はそれを成し遂げた。
VRで脳を表示した部屋に入っていくのは、SFドラマの宇宙船内に登場するホロデッキに入るような感じだという。部屋の中を歩きながら脳の一部に手を伸ばしてそこを強調表示させたり、脳全体を回転させたり、ズームして脳の内側に入ったりもできる。
ブルース・コリーとトッド・バーディスは、VRの専門知識が持つ威力に期待してSprocketyを創設した。イノベーション・サスカチュワンのCEOが彼らにメンデスとコンタクトを取ることを勧めた。メンデスはロボット工学の先駆者であり、彼らの技術に興味を持つと考えられたからだ。
彼らが連絡したときには、既に脳を3Dオブジェクト化するプロジェクトが進行していた。そして、彼らのソフトウェアと「融合」を果たしたのだ。
8年間に渡ってトロントでアニメやゲームの制作に取り組んでいたコリーは、自分の技術が脳モデルの制作に活かされたことについて次のように語った。
「私がこれまでに携わったプロジェクトはエンターテインメントばかりです。今回のプロジェクトは他人の時間を浪費するのではなく他人を助けることができるものであり、その変化は素晴らしいものだと感じています」
医学生にとって、この脳モデルは学習の助けとなる。脳はとても複雑な構造になっているため、その空間的関係を解剖学的な平面図によって理解するのは難しい。しかし、このプログラムを使って目で見た構造は記憶に残ると医学生のジェナ・マンは語る。
脳手術を計画する外科医にとっても、このモデルは有用だ。腫瘍の位置や腫瘍によって変形する周囲の柔らかな組織の状況を三次元的に把握することができる。血液の流れや神経の働きを再現すれば、処置による潜在的な危険性や合併症のリスクも確認できるという。
Saskatoon StarPhoenixとGlobal Newsの記事では、それぞれのメディアがサスカチュワン大学を取材したときの映像を見ることができる。
参照元サイト名:Saskatoon StarPhoenix
URL:http://thestarphoenix.com/uncategorized/technology-2/virtual-reality-heralds-great-leap-in-our-understanding-of-the-brain
参照元サイト名:Global News
URL:http://globalnews.ca/news/3175375/virtual-reality-helping-u-of-s-students-and-surgeons-analyze-the-brain-like-never-before/
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