エンジンに水を噴射するというBMWとボッシュのシステムとは、何を狙うものなのか。
BMWの水噴射システムは、吸気のサージタンク内に3本の水噴射インジェクターを配置し、全負荷運転時に最大10bar(1MPa)の噴射圧で水をスプレーし吸気温度を下げるというもの。全負荷時のみの使用を想定しているようで、水噴射で、8%前後の燃費低減効果があるという。効果を燃費に振るかパフォーマンスに振るかの自由度もあるという。
全開時の吸気温度を水噴射によって効果的に下げることで、過給圧を上げられたり、点火時期を早められたりする効果がある。もちろん、ノッキングの回避にも有効だ。RON98ではなく低いオクタン価のE10燃料の使用も可能になるという。水噴射システムが市販車で搭載されてこなかった理由は、システムの重量と錆の問題が大きい。今回のBMWの場合は、水タンクの容量は5ℓ。エンジンを切るたびにホース内の水をタンクに戻すという。水の補給の他に追加のメインテナンスは必要としない、とBMWは言う。
ウォーター・インジェクション・システム(水噴射)と言えば、かつては主にレースフィールドでターボエンジンに使われてきた技術だ。全開時にシリンダー内に水を噴射してその気化潜熱で筒内温度を下げる、あるいは、ラジエーターやインタークーラーに直接水を噴射して冷却する、というような技術だ。
この水噴射をBMWは近い将来Mモデルに採用する。現在は、MotoGPのセーフティカーであるM4に搭載してテスト中だ。基本的に全負荷運転時にメリットのあるシステムだが、実際どうだろう。登場が楽しみである。