オンキヨーホームエンターテイメントの子会社であるオンキヨーは、奈良先端科学技術大学院大学(NAIST)ユビキタスコンピューティングシステム研究室との共同研究にて行った、路側設置振動センサによる交通量推定システムの研究成果について、情報処理学会マルチメディア通信と分散処理(DPS)研究会が主催する「DPSワークショップ2020」にて論文発表を行い、「優秀論文賞」を受賞した。

 道路交通調査は、整備計画の立案やスムーズな道路活用によるCO2の削減を目的として、道路における交通量の実態調査と課題把握のために行われている。日本においては5年に1度、大規模な国土交通省による全国道路・街路交通情勢調査が行われているが、人手によらない機械計測による調査については、高速道路においてETC 2.0プローブ等を活かした機械計測が活発に行われている一方で、一般道路においては機械計測が普及していない。「平成27年度全国道路・街路交通情勢調査一般交通量調査結果の概要」(国土交通省)によると、最新の平成27年の調査でも50%以上は人手による交通量の調査が行われており、機械化をいかにして早急に行うかが議論されている。この要因としては、現状のトラフィックカウンタが高価であること、装置の規模が大きいため設置と調整に時間と手間がかかること、またカメラを使用する場合はプライバシー対策が必要であることや、夜間で照明の少ない道路における車両検知が困難である等といった課題があった。



 そこでオンキヨーは、音に関する技術を活用し、プライバシーへの侵害が少ない振動センサを用いて車両通過時の道路の振動を採取、振動信号を機械学習し、車両通過を判定する技術について、AIを用いた取り組みで先行するNAISTと共同で技術研究を行ってきた。

 NAISTユビキタスコンピューティングシステム研究室は、センサ・デバイス・ネットワークが連携し、センサから取り込まれる実世界データを処理・集約・解析することで、高度なサービスを効率良くユーザに提供するシステム(ユビキタスコンピューティングシステム)の実現に向けた研究に取り組んでいる。オンキヨーとNAISTユビキタスコンピューティングシステム研究室は、モノを伝わる振動(音)データを機械学習によって分析をすることで、様々な分野での各種分析、判断へ応用することを目的に共同研究を行っている。



 オンキヨーが培ってきたオーディオ技術を用いて、微弱な振動(音)に含まれる特徴的な信号を忠実に増幅することによって得られたデータを使用し、機械学習・分析を行うNAISTユビキタスコンピューティングシステム研究室と連携することにより、これまでにない幅広いニーズに対応するための研究を進めていく。

論文名:路側設置振動センサによる交通量推定システムの検討



概要:

道路交通量調査は、長年ほとんど人手による観測にて行われており、5年に1度の道路交通センサスの最新の調査でも約52%が人の手によるもので、機械化されているのは14%に過ぎません。この理由として機械計測のコストと設置性が課題となっています。そこで、低コストで設置も簡単なピエゾ素子をもちいた振動センサを開発し車両通過時の路側に伝わってきた振動信号から特徴量を抽出することで車両の通過判定を行う交通量推定システムの検討を行いました。一般の複数の道路の歩道に振動センサを設置した実験を行い、振動センサから収集した振動音データのみから機械学習アルゴリズムであるSVM(Support Vector Machine)を用いて道路を通過した車両数を推定した結果、晴天・曇天下ではF値0.90以上、雨天下ではF値0.89の高い精度で車両数をカウントすることができました。

【オンキヨーのコメント】

 当社グループは、現在120名強の技術者が在籍しており、ホームオーディオ、スピーカーの素材開発からAI・振動センサーなど、多岐に渡る技術の開発を行っている中、この度、当社の技術が評価され、優秀論文賞を受賞したことを大変光栄に思っております。

 今後も当社は経営理念である「VALUE CREATION」に基づき、これまで培ってきた音に関する技術を磨くのみならず、他の技術とのコラボレーションによるAI活用の研究開発にも取り組み、生活をより豊かにする新しい価値提案を推進してまいります。

情報提供元:MotorFan
記事名:「 オンキヨー:路側設置振動センサによる交通量推定システムを開発、論文を発表 ~奈良先端科学技術大学院大学との産学共同研究を実施~