1960年代、ホンダはカブ系の横型エンジンを搭載した「ベンリイSS50」などのスポーツモデルをリリース。1970年初め、今度は50ccスポーツの座を、縦型エンジン搭載車に移行。2ストの「MB50」が登場するまでの約10年間、頑丈な縦型4ストエンジンを搭載したCB50は、ホンダのゼロハンスポーツモデルとして若者を中心に人気を呼んだ。
REPORT●北 秀昭(KITA Hideaki)
超スポーティ! 1万500rpmの超高回転型ショートストロークエンジンを搭載
「ベンリイCB50」の主な特徴 ※当時のメーカー資料より抜粋(原文のまま)
・ヘルメットホルダー……CB500に次いで採用。クルマから離れるときも、ヘルメットを持ち歩くわずらわしさがなく、ヘルメット着用の積極的な便宜がはかられています。
・スピードメーター……30Km/h以上は赤色表示にし、ユーザーにスピード・オーバーの注意をうながします。
・安全運転ラベル……ヘルメット着用の標語などをタンクに貼付しました。
・フレーム……50ccスーパースポーツのために設計されたエンジンに合わせて、ダイヤモンド型のパイプフレームを新設計しました。軽量で剛性も高く、軽快なスポーツ走行に適します。
・タコメーター……スポーツ走行に不可欠な装備を50ccクラスに初めて採用しました。
・マフラー……スポーツライクのイメージを強調したメガホンタイプ。これもこのクラスで初めてです。
・ハンドル……セミアップタイプで誰れにでもなじめる扱い易さです。シートとマッチして優れたドライビング・ポジションが得られます。
・始動性……ギアが入っていても、すぐエンジンがかけられるプライマリーキック機構を採用して、始動が容易です。
・ボデーカラー……明るい3色(ゴールド、オレンジ、ホワイト)を用意しました。
・エンジン/レイアウト……カムチェーン、オイルポンプ、プライマリーキックなどは、上級車種なみの信頼の高い構造を採用しました。
・エンジン特性……市街地での走行に適したフラットなエンジン特性をそなえ、中低速でのなめらかな扱い易さが強調されています。
・整備性……CB750と同じ分離型のカムシャフトホルダーを採用することにより、整備性が向上しました。
・ミッション……5段式。シフトフォークシャフトを別軸にして、ソフトなチェンジフィーリングを出しました。
さらに、お客様の安全を配慮して、CB50の発売にあたり、この車種の購入者に対して、ホン ダオリジナルのヘルメット贈呈キャンペーン(6月1日より8月31日まで)を実施いたします。
このようにお客様のすべてが車を安全、快適に乗っていただくために新考案のヘルメットホル ダーとあいまって、ヘルメット着用の運動を積極的に展開いたします。
全長:1.780mm
全巾:670mm
全高:980mm
軸距:1.180mm
最低地上高:160mm
車両重量:74kg
乗車定員(人):1
舗装平坦路燃費率(km/L):85(30km/h)
登坂能力:0.24m
最小回転半径:1.9m
制動停止距離(m):7.0(初速35km/h)
原動機:空冷4サイクル
シリンダー数と配列:前傾12°1.横置
弁配置:頭上カム軸式
燃焼室形状:半球形
総排気量:49cc
内径×行程:42.0mm×35.6mm
圧縮比:9.5
圧縮圧力(kg/cm2-rpm):12.0-1,000
最高出力(PS/rpm):6.0/10,500
最大トルク(kg-m/rpm):0.41/8,500
始動方式:キック式
点火方式:マグネット点火
気化器:PW18 数:1個
空気清浄器型式:ウレタンフォーム式
燃量タンク容量:7L
潤滑方式:圧送式・飛沫式
潤滑油容量:0.9L
蓄電池:型式と数 6N2-2A・1
電圧容量:6V-2AH
減速比:4.437
クラッチ型式:湿式多板・コイルスプリング
変速機:常時噛合式
操作方法:左足動リターン式
変速比1速 3.083
変速比2速 1.882
変速比3速 1.400
変速比4速 1.130
変速比5速 0.960
変速機から後車軸までの機構:チェーン
同上減速比:3.153
かじ取角度°:左右共43°
キャスター:63°
トレール:75mm
タイヤサイズ :
前 2.50-17-4PR
後 2.50-17-4PR
ブレーキの種類型式:
前 ワイヤー式リーディング・トレーディング
後 ロッド式リーディング・トレーディング
操作方式:
前 右手動式
後 右足動式
懸架方式:懸架方式
前 テレスコピック式
後 スイングアーム式
フレーム形式:ダイヤモンド式
灯火:
前照灯 15/15W
尾灯 W(色) 3(赤)
兼用灯火 番号灯(3W白)
制動灯 W(色) 10(赤)
方向指示器:
前 8W(橙)
後 8W(橙)
計器等 警音器形式:平型電気式
速度計形式:過流式
発売日:昭和46年6月1日
価格:7万5,000円(全国標準現金価格)
生産計画:月産4,000台(輸出を含む)
ホンダ CB50の歴代モデルをチェック
タンクの形状やカラーリングを変更し、テールカウルを装備。また、「ベンリイCB90JX-DISK」に採用の、フロントメカニカルディスクブレーキ(メカニカル=機械式)を新採用して、高速域での安全性をアップした「ベンリイCB50JX」も登場。当時の販売価格は、フロントドラムブレーキの「ベンリイCB50」が8万円、フロントディスクブレーキの「ベンリイCB50JX」が8万6000円。
ピストン、カムシャフト、バルブスプリングなどを見直し、高回転までスムーズに回る特性に変更した「ベンリイCB50JX」が登場。パワー&トルクもアップされている。
・パワー:6.0PS/10,500rpm→6.3PS/10,500rpm
・トルク:0.41kg-m/8,500rpm→0.43kg-m/9,500rpm
フロントフォークはポテンシャルの高いΦ27成立型。ストッパー付きシートに加え、ガソリンタンクはロング&スリムな形状の大容量8.5L入りを装備。メガフォンタイプのマフラーは、3段特殊形状の内径を採用。脈動効果の高い内部構造とし、パワフルな走りと静粛性を実現している。
なお、1978年(昭和53年)~1979年(昭和54年)のモデルより、名称が「ベンリイCB50JX」から「CB50JX-Ⅰ」に変更された(価格以外に変更なし)。
CB50JXを改良した「CB50S」が登場。シート形状を変更。また、利便性向上を狙い、リアキャリアを標準装備しているのがポイント。6.3馬力の縦型エンジンに大きな変更なし。縦長の8.5Lタンク、Φ27正立フォーク、17インチスポークホイールも健在だ。
フロントディスクブレーキはメカニカル=機械式(ワイヤー式)から、当時の最先端である油圧式に変更(油圧式ディスクブレーキは車体左側ではなく、車体右側に設置変更)。ウインカーは角形になり、ヘッドライトの光量もアップされた。
カラーリングのみ変更。CB50Sは「小排気量4ストスポーツ」、MB-50は「小排気量2ストスポーツ」として位置付けられていたが、このモデルを最後にCB50Sは生産終了となった。