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ホンダ新型フィットはシートが自慢。面で支える新MAT構造


2020年2月に発売されるホンダの新型フィット。デザイン開発のテーマは、「心地よい」+「使える」=用の美デザインである。その重要な要素がシートだ。明らかに1クラス上になった新型フィットのシートを見てみよう。

左が現行型、右が新型の「ボディスタビライジングシート」

 新型フィットのシートの担当エンジニアは、開口一番「まずクッションの触り心地を比べて欲しい」と切り出した。




 新旧のクッション部分を触ってみると、新型のほうが明らかに柔らかい。




「本来、ここまでクッション(パッド)を柔らかくすると、身体を支えきれずに姿勢が崩れてしまって全然運転に集中できなくなります。今回の新型フィットから搭載していくこのシートは、フレームから新設計になっています」


 という。


 この新シートは、「ボディスタビライジングシート」という名称だ。

クッション(パッド)の厚さが30mm増している。座ってすぐに感じられる部分だ

 いままでのシートは、サイドサポートやちょっとしたワイヤーなどと硬めのパッドで身体を保持していたのだが、新型のボディスタビライジングシートは、パッドの奥にある面構造で身体を支える考え方に変わった。




 新型フィット開発陣がこだわったのは、「骨盤の安定」だという。


「我々はとにかく体幹を崩さないことが縦横だと考えました。そのためには、骨盤をしっかりずらさない。骨盤を面で受ける構造がパッドの反力を返してくれて、身体を優しく包みながらも身体をしっかり支えてくれるのです。新型フィットのボディスタビライジングシートは、そんなシートになっています」


 と説明してくれた。

現行型は「Sばね構造」だ
こちらが新型。構造がまったく違うことがわかるだろう


 従来の「Sばね構造」が「線」で身体を支えるとしたら、新型は「面」で支えるという考えだ。


「Sばね構造だと、腰のあたりに局部的に強い当たり方をするですが、新型のMAT構造では、前から後ろまでしっかり繋がったようなフィーリングが体感できます」(エンジニア氏)

 テストコースでの短時間の試乗でも新型のシートの出来の良さはすぐに体感できる。走り出さなくても座った瞬間に、プラス30mmの厚さの座面(クッション)のたっぷりとした座り心地は感じる。ホンダによれば、現行フィットはもちろん、欧州のCカテゴリー(つまり1クラス上)のクルマのシートより、商品性、運転のしやすさ(骨盤の安定性)、疲れにくさ、すべての項目で優っているという。


 試乗した印象でも、「このシートはいい!」と感じられた。

新型フィットの室内。リヤシートも改良されている

 リヤシートにも手が入った。「コンフォートULTRリアシート」は、ダイブダウンする使い易さはそのままに、パッド厚を24mmアップし、骨盤支持と座り心地を向上させたという。こちらは試乗で試せなかったので、その効果はいずれ発売後に確認したい。




 いずれにせよ、コンパクトカーでも「シートの良さ」が商品性に繋がるということは各メーカーが認識している。そのなかでもホンダはいち早く新型フィットでシートの構造を大きく変えてきた。こちらも早く市販モデルで試したいポイントである。

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