年末の流行語大賞ならぬ、2018年の交通取り締まりに関するキーワードNO.1は、なんと言っても「移動(式)オービス」。そして、それに続くのは「あおり運転」と言ったところだろう。その理由は、もちろん、2018年に警察がやけに力を入れて一般にアピールし、実際に熱心な取り締まりを行ったからだ。では来年は?というと、それはズバリ!「横断歩道」になりそうな予感がたっぷり。何故かというと、この10月末、2020年の東京オリンピック&パラリンピックに向けて、「歩行者優先」意識の高い訪日外国人観光客の安全を守るべく、「信号機のない横断歩道における歩行者優先等を徹底するための広報啓発・指導の強化について」という通達が全国に向け、発せられたからだ。
実はドライバーの9割が日常的に違反しているのだ!
横断歩道を横断している、あるいは横断しようとしている歩行者がいたら、車両は手前の停止線で必ず一時停止しなければならないというのは、運転免許を持っている誰もが知っているはずの、いわば、常識だ。ところが、特に信号のない横断歩道で横断しようとしている歩行者がいるにも関わらず、ちゃんと停止するクルマは数えるほどしかいない。中には警笛を鳴らして横断を阻止するならず者もいるほどだ。
ちなみに道路交通法によると、横断歩道に関する決まりは次のように規定されている。
(横断歩道等における歩行者等の優先)
第三八条 車両等は、横断歩道又は自転車横断帯(以下この条において「横断歩道等」という。)に接近する場合には、当該横断歩道等を通過する際に当該横断歩道等によりその進路の前方を横断しようとする歩行者又は自転車(以下この条において「歩行者等」という。)がないことが明らかな場合を除き、当該横断歩道等の直前(道路標識等による停止線が設けられているときは、その停止線の直前。以下この項において同じ。)で停止することができるような速度で進行しなければならない。この場合において、横断歩道等によりその進路の前方を横断し、又は横断しようとする歩行者等があるときは、当該横断歩道等の直前で一時停止し、かつ、その通行を妨げないようにしなければならない。
2 車両等は、横断歩道等(当該車両等が通過する際に信号機の表示する信号又は警察官等の手信号等により当該横断歩道等による歩行者等の横断が禁止されているものを除く。次項において同じ。)又はその手前の直前で停止している車両等がある場合において、当該停止している車両等の側方を通過してその前方に出ようとするときは、その前方に出る前に一時停止しなければならない。
つまり、「歩行者が渡っている、あるいは渡ろうとしている」横断歩道は「赤信号」と同じ意味を持っているのだ。さらに、手前に駐車車両がある場合は、歩行者が渡っていようがいまいが、あるいは渡ろうとしていようがいまいが、車両には一時停止義務が課せられている。
が、それをちゃんと守っているドライバーなど、めったにいない。事実、JAFが信号機のない横断歩道で調査を行ったところ、なんと90%以上のクルマが一時停止しなかったということだ。道路交通法が制定されて以来、もはや半世紀以上が経っているが、今さら警察が重い腰を上げたきっかけは、やはり、東京オリンピック。外圧がないと動かない日本の行政の悪い一面とも言えるが、交通事故死車ゼロを目指し、ぜひ適正な取り締まりを実行して欲しい。
というわけで、この11/22~28日、警視庁、千葉県警、神奈川県警はオリンピック会場につながる一般道で、「歩行者優先」のキャンペーンを展開。他の道府県警も同時に広報・啓発活動を展開している。ということは、この年末から来年にかけて、今度は本気の取り締まりがスタートすることは間違いない。ちなみに、歩行者妨害で検挙されると基礎点数2点、反則金9,000円(普通車)となっている。
多くのドライバーにとっては「慣れない」行為を強いられる(?)ことになるだけに、いまのうちに認識を新たにしておきましょう!