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レンジローバースポーツSVRはメーカー謹製チューニングカーだ!


衰えることのないSUV人気だが、同時に先鋭化も進んでいる。たとえば575psを発生する5.0ℓV8スーパーチャージャーを積み、SUV離れした動力性能を示すレンジローバーSVRがいい例だ。とはいえオーナーがワインディングばかり走っているわけではない。市街地での性能から高速道路まで全方位で実力を確かめた。


REPORT◎中三川大地(NAKAMIGAWA Daichi)


PHOTO◎平野陽(HIRANO Akio)

 ジャガー・ランドローバー社内に設けられるSVO(スペシャル・ヴィークル・オペレーションズ)は、とんでもない仕事をやってくれた。それがレンジローバー・スポーツSVR(以下、SVR)に試乗した正直な感想だった。




 2018年モデルからSVRに搭載される5.0ℓV8スーパーチャージドは、先行したFタイプSVRに合わせる格好で、最高出力575ps、最大トルク700Nmにまで引き上げられた。この個体のようなSVRカーボンファイバーパックというボディパーツも選べるようになり、その性能を内包するどころか、全開で周囲にアピールする。自動車性能の指針となるニュルでのタイムは、2017年モデルですら8分14秒を達成したと自慢げだったが、当時の550psではまだ飽き足らなかったのか。車両重量2310kg、走行状態では2.5t近いヘビー級の持つパフォーマンスとしては驚異の俊足である。

新採用されたウインザーレザー製SVRパフォーマンスシートは、シートヒーターを標準装備。シートクーラーもオプションで選択可能。
最高出力575ps、最大トルク700Nmを発生する5.0ℓV8スーパーチャージャー付きエンジン。


 ただし、ここ日本でサーキットマシンとしてSVRを手に入れる人は皆無だろう。だからこそSVRの魅力を浮き彫りにするのは難しい──。18年モデルから採用された、ふたつのタッチスクリーンで構成されるタッチ・プロ・デュオに触れつつ思っていた。FタイプならSVRとしていかに激辛に仕立てようとも、根がスポーツカーだから腑に落ちる。だが、これはいかに“スポーツ”を名乗ろうとも、世界を代表する高級SUVとして歩む由緒正しきレンジローバーの一派にして、悪路走破性を追求した正統派クロスカントリービークルである。

試乗車はメーカーオプションのSVRカーボンエクステリアパック(エクスポーズドボンネット)が装備され、ボンネットやフェンダーベント、リヤテールゲートフィニッシャーがカーボンが奢られる。

 それが全身カーボンづくめで、イカつい表情を持ち、バケットシートまで奢られている。よく本家レンジローバーの開発陣が許したものだと思う。サードパーティが改造したって、絶対にこうはならない。彼らのほうがむしろ純正の世界観に圧倒され、エレガントに仕立ててくるはずだ。その性能はおろか世界観を崩し切ったという意味でも、メーカーでなければできない芸当である。

これはもはやスポーツカーだ!

 いざステアリングを握っても、レンジローバーの世界観は、見事に拭い去られていた。見た目のコワモテを少しも裏切らない、超硬派な乗り味を持つ。電子制御ダンパーを備えたエアサスは、ターンイン時のグリップやロールの抑制に力が注がれたというが、街乗りでは路面の段差やうねりを、決してしなやかにいなしてはくれない。テレインレスポンスがコンフォートやエコの位置にあろうが硬さは残る。都市部で見栄を張るだけのツールとして選べば、すぐに音を上げるだろう。


 


 ただし、速度域が上がるにつれ、その硬さが頼り甲斐のあるフットワーク性能として味方につく。高速域ではロール量が小さく押さえ込まれ、路面の凹凸やラフなスロットル操作でも暴れることもなく忠実に路面を捉えて推進力に変えていく。身体を確実に包み込むバケットシートからの感触は、硬質ながらも決して不快なものではない。むしろ、より高速域へ導かせたい衝動にかられる。

最新のランドローバー車なので、センターには10インチディスプレイのタッチプロデュオを装備する。インパネ内の12.3インチディスプレイは高解像度でナビも表示可能だ。

 それに加え、アクセル開度に応じてまるでハイパワーEVのごとく瞬時にトルクが立ち上がり、変速ラグのない8速ATと相まって、それが永遠に続くかと思わせる。EVと決定的に異なるのは、V8らしい獰猛な音色と、わずかな鼓動が車内に響き渡ること。その感触に酔いしれながらスロットルをオフにすれば、周囲を驚かせそうな炸裂音がマフラーから鳴り響くというおまけ付き。世界でもっとも上質なチューニングカーみたいだ。これだけの性能を内包すると知れば、普段使いにおける硬さや、粛々と走らせてくれない威圧感も笑顔で流せてしまう。

 オンロードスポーツ性能が念頭に置かれたスーパースポーツ勢は、今やあまりにも高性能過ぎて、普段は上質なサルーンのごとく振る舞うだけに過ぎないものが多い。それに対してSVRは交差点を曲がるだけでも、たとえそれが30km/hでも、圧倒的な威圧感と硬質感で、スポーツカーらしい熱量を感じさせてくれる。これを暑苦しいと思うのなら、素直にオートバイオグラフィでも選べばいい。結果、極めて上質な走行フィールと、最高級の快適空間が約束されている。


 


 その上で「物理的に不利なボディ形態や、豪華な装備装飾を前に、余りあるパワーと先進的なシャシーコントロール技術で凌駕する」といったような、まるで物理の法則を超えていこうとする走りに新鮮な楽しさを感じる。ストリートでスポーツカーらしさを味わうとすれば、余計な装備装飾を排除して、徹底的に軽量に仕上げたアナログなライトウエイトスポーツカーが鉄板なのは間違いない。だが、そのまるで対極にあるようなSVRが、新しいスポーツカーの魅力を教えてくれた。

SPECIFICATIONS


レンジローバースポーツSVR


■ボディサイズ:全長4880×全幅1985×全高1800mm ホイールベース:2920㎜ ■車両重量:2420kg ■エンジン:V型8気筒DOHCスーパーチャージャー 総排気量:4999cc 最高出力:423kW(575ps)/6500rpm 最大トルク:700Nm(71.4kgm)/3500〜5000rpm ■トランスミッション:8速AT ■駆動方式:AWD ■サスペンション形式:Fダブルウイッシュボーン Rマルチリンク ■ブレーキ:F&Rベンチレーテッドディスク ■タイヤサイズ(リム幅):F&R295/40R22(9.5J) ■パフォーマンス 最高速度:280km/h 0→100km/h加速:4.5秒 ■環境性能(JC08) 燃料消費率:7.6km/ℓ ■車両本体価格:1681万円
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