冬の寒さが厳しいドイツ。特に筆者の住むベルリンは、札幌よりも高緯度に位置するため、冬季の夜の時間は非常に長いです。夏の間、あんなに走っていたオープンカーも、この時期の公道ではほとんど見かけず、幌を閉めきって走っているのを時々見かけるくらいまで減ってしまいました。また、「Hナンバー」を付けたようなクラシックカーも、今はガレージに引きこもっているのか、冬の間は滅多にお目にかかりません。
「夏しか乗らない古いオープンカーを持ってるんだけど、乗らない時期がかなり長いのに、通常と同じ自動車税や保険料を払うのは納得できない!」。そんなオーナーたちの声に応えるような素晴らしい制度が、実はドイツに存在します。今回のドイツ現地レポは、2017年2月10日から施行された新制度、「H-Saisonkennzeichen(H-シーズンナンバー)」について紹介していきます!
古いクルマに付与される「Hナンバー」
「H-Saisonkennzeichen」、「ハー・ゼゾーンケンツァイヒェン」と発音するこの新制度は、今までふたつに分かれて存在していた「Hナンバー」制度と「シーズンナンバー」制度の、両方のメリットを取り入れた「いいとこ取りの新制度」となっています。
まずは、もとになったふたつの制度、「Hナンバー」制度と「シーズンナンバー」制度について紹介しましょう。
ひとつめは「Hナンバー」制度。ドイツ現地レポではもはやお馴染みかもしれませんね。Hはhistorisch、「歴史的な」という意味のドイツ語の頭文字で、現地では「H-Kennzeichen(ハー・ケンツァイヒェン)」と表記します。この制度が適用されたクルマは、末尾に「H」の表記があるナンバープレートで簡単に識別可能です。
製造から30年が経過したクルマで、オリジナルの状態を残しつつ、現代の公道での使用には問題ない、という検査レポート「Oldtimergutachten(オールドタイマーグートアハテン、直訳するとクラシックカー鑑定書の意)」が出された個体にのみ、交付が許されるナンバープレートとなっています。このOldtimergutachtenは5段階評価となっていて、「3」以上の評点が付かないとHナンバーを申請できません。