好条件のしぶんぎ座流星群で幕開けした、今年の天文現象。今回は、1月の見所をはじめとした2022年の星空トピックスと、ぜひ知っておきたい2大天文現象をご紹介します。
【年間星空トピックス】1月は、水星、マイクロムーン、明けの明星を観察しよう
1月の見所は、まずは最大離角となる水星です。木星や土星と並んで夕暮れの低空に現れます。13日頃に水星と土星が最接近、前後数日間はごく近い距離で2惑星の姿を見ることができます。18日の満月は今年最小のミニマムムーン(マイクロムーン)。地球から最も遠い満月になります。昨年末まで「宵の明星」として輝いていた金星は、1月下旬頃からは「明けの明星」として再び美しい姿を現します。
3〜6月にかけては、早朝の空に7つの惑星を同時に見ることができます。惑星同士の接近や月との接近が相次いでおこり、華やかな競演が楽しめます。
11月8日に起こる皆既月食は、2022年最大の天文現象。日本全国で、欠け始めるところから全て欠けるまでを見ることができます。皆既の継続時間が長く、時間帯や見える方向・角度といった条件がすべて揃い、またとない機会になるでしょう。
12月1日には、火星が地球に最接近します。2020年10月以来2年2か月ぶりのことで、マイナス1.8等まで明るくなる火星の赤い輝きに注目してみましょう。
【皆既月食】好条件のもと全国で観測可能!赤銅色の満月をゆっくり楽しみたい
太陽・地球・月が一直線上に並ぶ時に起こる月食。太陽に照らされてできた地球の影に月が隠れることで、地上からは月が欠けていく様子が見られます。
地球の影には「本影(濃い影)」と「半影(本影を取り囲む薄い影)」の2種類があります。一般的に「月食」といわれるのは、本影のなかに月が入る「本影食」のことを指します。
今回は、月が本影の中心に近い位置を通過するため、皆既の状態が1時間26分ほど継続します。2021年5月の皆既月食の時は、皆既の継続時間が15分ほどの短い時間でした。今年は、赤く染まった月をゆっくりと眺めることができそうですね。
【火星の接近】最接近の頃にはマイナス1.8等の輝きに
地球の公転周期は365日で、地球の外側にある火星の公転周期は687日です。火星よりも公転のスピードが速い地球は、約780日(約2年2か月)ごとに火星に追い付くことに。この時、火星と地球の距離が近くなります。
太陽から見て地球と火星が同じ方向になる瞬間を「会合」と呼び、会合が起こる周期を「会合周期」と呼びます。会合の頃に地球と火星の距離が近くなり、距離が最も近くなることを「最接近」といいます。
火星の最接近は、いつも同じ日に同じ距離で起こるわけではありません。地球の軌道は円に近い形で、火星の軌道は楕円形。そのため、地球と火星の軌道の間の距離は一定ではないのです。また、地球と火星の会合周期は2年ではなく約2年2か月のため、火星と地球が接近する位置も毎回ずれていきます。
今回は、2018年の「大接近」と2027年の「小接近」の中間にあたる「中接近」になりますが、12月1日の最接近の頃にはマイナス1.8等となり、存在感を増します。おうし座のアルデバラン、オリオン座のベテルギウスなどの赤い星よりも、強く輝きを放つでしょう。
2大天文現象はまだ先になりますが、今年も一期一会の星空が私たちを楽しませてくれそうですね。
・参考文献
『アストロガイド 星空年鑑 2022』 アストロアーツ
・参考サイト
国立天文台「月食とは」
国立天文台「火星の接近」
アストロアーツ「水星と土星が接近」