年始を迎えて一息ついたこの時期にふと思うのは「味噌」のこと。「寒仕込み」という言葉を聞いたことがありますか?一年のうちで最も気温が下がるこの季節は、お酒や味噌、醤油などを仕込むのに最適だと言われています。その理由のひとつは、気温の低さが食品をゆっくり発酵させるため、味わい深く、より美味しく仕上がるからです。筆者も以前、味噌を寒仕込みしたことがあります。じっくりと発酵させた手作り味噌が美味しかったことは勿論、自分で作ったという喜びが食事をより豊かにしました。今回は、味噌の寒仕込みについてご紹介いたします。
寒仕込みをした味噌が美味しい理由
先ほども少し触れましたが、寒仕込みをした味噌が美味しくなる理由は、大きく3つあります。1つは、気温の低い時期から時間をかけてゆっくり発酵させることで、深みのある味わいに仕上がること。次に、雑菌が少なく繁殖を抑えることができること。更に、秋に収穫して間もない大豆や米を使うことができるから。「気温が低くなる時期」というのは、小寒から節分の間の期間である「寒の内」のことです。現在は、加温による発酵で一年中味噌作りが可能になり、手に取りやすい価格で味噌が出回っていますが、寒仕込みして一年寝かせる手作り味噌の味わいには、それと異なる感動があります。
味噌の種類
さて、一口に「味噌」と言っても全国各地に様々な味噌があります。まずは、麹の種類による分類「米味噌」「麦味噌」「豆味噌」に加えて、これらを調合した「調合味噌」があります。現在日本で生産されている味噌は8割方「米味噌」なんだそうです。更に、味による分類「甘味噌」「甘口味噌」「辛口味噌」。塩加減はもちろん、大豆に対する麹の割合によっても味が変化します。そして、色による分類は「白」「赤」「淡色」に分かれます。それらの分類に地域性が加わり、様々な名前のついた味噌が各地に存在しています。
手作り味噌の主な工程とポイント
味噌を手作りしてみたいけれど難しそう……という初心者の方は、味噌屋さんの「手作りキット」を利用したり、味噌作りのワークショップに参加してみるなどすると、味噌を手作りするハードルはグッと下がるのでおすすめです。作る味噌の種類や分量によって、時間などが異なる場合がありますので、今回は味噌を手作りする際の主な工程についてご紹介します。
手作り味噌の仕込みに必要な日程は2日間です。
初日は下準備として「大豆を洗う」「大豆の3倍の量の水に18時間つける」工程があります。
2日目がいよいよ本番。「大豆を煮る(圧力鍋の場合6分程度の加圧・鍋で煮る場合は3時間程度必要)」「塩と麹をまぜる」「大豆をつぶす」「大豆と、まぜ合わせた塩と麹をまぜる」「容器に入れて保管する」という工程です。
その後の保管期間は、好みにもよりますが、10〜12ヶ月が食べ頃。また、保管期間中のカビ対策は「味噌の表面をしっかり密閉する」ことで、落とし布、落としラップ、和紙などを使う場合もあるそうです。更に、味噌に重しをすることでより密閉度が高まります。
いかがでしたか?味噌を仕込むには絶好のシーズンです。ひとりでももちろんですが、家族や友人と一緒にイベントのように味噌の寒仕込みをするのも楽しいですよ。参考になさってくださいね。
出典:
農林水産省ホームページ「みそ」
有機味噌の味噌蔵 マルカワ 味噌屋が教える失敗しない手作りみその作り方
みそ健康づくり委員会