
勝ちたきゃエースにボールを集めよ!! J1で最下位のアルビレックス新潟は、8試合ぶりの白星を狙う23日のホーム鹿島アントラーズ戦に向けて聖籠町で調整を続けている。今季全試合に出場するMF長谷川元希(26)はチームトップの6得点を挙げているが、約3カ月間、ゴールから遠ざかっている。J1に生き残るには、J屈指のファンタジスタの能力を最大限に引き出すことが絶対に必要だ。
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鹿島戦に向けた練習が続く中、長谷川の右足からは心地よいボールタッチの音が響く。ゲーム方式では首を振って、あたりを見渡しながらパスを引き出し、決定機をつくり出す。しかし試合で勝利がついてこない。「まず(自分が)シュートを打てていない。ボールを触る回数も減っている。どうすればいいのか。なかなか答えが見つからない」。エースはもがいている。
今季全試合に出場している身として、結果が出ないシーズンに責任を背負い込む。ゴールは5月18日の岡山戦から遠ざかる。全体練習後は、スタッフや寺川強化本部長らと身ぶり手ぶりでコミュニケーションを取り、意見をぶつけ合う。全てはJ1残留のため。「もしかしたら他の選手が出た方がいい結果が出るかもしれない」と正直に胸の内を明かすが、J屈指の技巧派が先発のピッチにいないことなど考えられない。
ボールを持った時の技術、意外性はもちろん、攻守両面で犠牲をいとわないランニングを繰り返す「闘えるファンタジスタ」だ。監督交代や、選手同士のフィーリング任せのポゼッション“風(ふう)”スタイルに難しいシーズンを過ごしているが「勝つためなら何でもする。途中加入の選手は覚悟を持ってやっている。負けないように頑張りたい」と気概を示した。
今季、ここまで挙げた6得点にPKはなし。約3カ月間ゴールから遠ざかっているが、前節の川崎フロンターレ戦で新戦力7人が躍動。個性を紹介し合う名刺交換は終わり、敵陣への新たな進入ルートも見えてきた。「要求した場所にクロスが来たり、いい距離感でプレーできたりした場面もあったので続けていく」。長谷川にボールを集めれば、何かが起こる。【小林忠】