
<ヤクルト1-5阪神>◇15日◇松山
阪神が6年ぶりの松山でヤクルトに快勝し、貯金1とした。藤川球児監督(44)が初めて並べた3~5番の新中軸が大当たり。森下翔太外野手(24)が先制打、佐藤輝明内野手(26)と大山悠輔内野手(30)が中押し打を決めて奥川を粉砕した。「森大佐」の打点そろい踏みは通算19回目で17勝1敗1分け、16連勝の強力神話ができつつある。指揮官も「坊ちゃんスタジアムで坊ちゃんが頑張った」とご満悦の夜だ。
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「野球」の名付け親ともされる正岡子規の生誕地、松山に阪神ファンの大歓声が渦巻いた。藤川体制で初めて組んだ3番森下、4番佐藤輝の新中軸が大当たり。藤川監督自身、03年に先発するなど「ゆかりのある球場」での快勝にご満悦だ。「坊っちゃんスタジアムでね、うちの坊っちゃんたちが頑張ってくれました」。しゃれっ気たっぷりに新中軸トリオらをたたえた。
ヤクルト開幕投手の奥川から5点を奪ってKOした。その中心を担ったのが森下だった。初回1死三塁では直球に詰まりながらも先制の中前適時打。1点リードの6回は1死から右前打を放ち、5連打を呼んで一挙4得点を呼び込んだ。今春のオープン戦でも2打数2安打だったツバメの右腕から再びマルチ安打。7回にも小沢から左前に運び、昨年106試合と最も出場の多かった古巣の3番で、今季2度目の猛打賞だ。
「すごくいい形で自分のところまでつないでくれた。詰まってでも、1点を取れたことは、次の試合にも生きてくる。3番で出塁したら4、5番と続く。いいバッターがそろっている中で、ランナーなしで出塁できたことはよかった」
“地方球場の鬼”ぶりも発揮した。この日も含めプロ通算15打数8安打で打率は驚異の5割超え。松山は、中大時代に日本代表の候補合宿でもプレーした球場だった。「芝の状況や、打席の見方は確認したけど、やるべきことはあまり変わらない。球場が変わったところで、そこまで自分の心境は変わらない」。負ければチームが借金生活となるところで平常心を貫き、貯金1に貢献した。
今季初めて4番に入った佐藤輝も頼もしかった。1点リードの6回、安打出塁の森下に続き、右中間へタイムリー三塁打。緊迫の投手戦が続く中でリードを2点に広げ、才木の初勝利を援護した。「試合の中ですごく大きな点になった。(4番でも)やることは変わらない。もっと打てるように頑張ります」。5番大山も中前に運ぶ連続適時打で続き、3点差をつけた。
森下、佐藤輝、大山の「森大佐」3人による打点そろい踏みは通算19度目で17勝1敗1分け、16連勝という無敵神話ができつつある。16日の移動日をはさみ、舞台を神宮に移す。今季のクリーンアップはどの並びでも頼もしい。【塚本光】
▼阪神は森下、佐藤輝、大山の「森大佐」がそろって打点を挙げた。今季3度目&通算19度目で、23年9月8日広島戦から1分けをはさんで16連勝となった。今季は3番佐藤輝、4番森下、5番大山が基本のラインアップで、打点そろい踏みも2度あったが、初めて3番森下、4番佐藤輝、5番大山でクリーンアップを組んだ。昨季は3人そろい踏みが13度あり、そのうち森下-佐藤輝-大山の中軸は6度、森下-大山-佐藤輝も6度あった(残り1度は佐藤輝が6番)。今季はどの組み合わせで連勝を伸ばすか。
▽阪神佐藤輝(今季初4番で6回に奥川から2点差に広げる適時三塁打)「試合の中ですごく大きな点になった。長打になったのでよかった。(4番でも)やることは変わらない。もっと打てるように頑張ります」
▽阪神大山(5番で6回に3点差に広げる適時打で7試合ぶり打点)「もちろんつながるのが一番。今日は今日でいいところが出た。続けていくところは続けていく」
▽阪神近本(初回の先頭で左二塁打を放ち、先制につなげる)「チャンスをつくれて、その後にしっかり得点できた。最終的にチームが勝てたのでよかった」