
<DeNA3-6巨人>◇9日◇横浜
巨人が“主砲・オカモン”の1発で連敗を止めた。岡本和真内野手(28)が4回に3号先制ソロで1発攻勢の口火を切った。
2者連続となるヘルナンデスの1号、7回のキャベッジの3号、泉口の1号のソロ弾を誘発。岡本は開幕から4番で11試合連続安打は59年長嶋茂雄に次ぎ3人目の“ロケットスタート”で打線をけん引する。8回にも二塁打を放ち、今季3度目の猛打賞で首位打者を独走する驚異の打率4割5分。先発山崎は8回無失点で2勝目と投打がかみ合い、チームの連敗を3で止めた。
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岡本が重い空気を一掃した。4回無死走者なし。カウント1-2からDeNA先発大貫の143キロ内角高め直球を狙い澄ました。左翼席中段に飛び込む確信の3号ソロを放ち「打った瞬間、入ったと思いました」。沸き立つスタンドとは対照的に、悠然とダイヤモンドを一周した。
驚異的な“ロケットスタート”を決めている。6回の右前打、8回の左二塁打で、猛打賞をマーク。打率は4割5分にまで跳ね上がった。開幕戦からの連続安打記録も「11」に伸ばし、球団の4番では長嶋氏の記録に並んだ。だが、本人は「分からないです」と意に介さないところに“らしさ”がにじみ出ていた。
ちょうど1カ月前は不安と葛藤に揺れた。オープン戦5試合目の阪神戦を終えた時点で打率0割8分3厘。12打数1安打、5三振。どことなく煮え切らない表情で首をかしげる姿があった。「どうなんですかね。確かにオープン戦と公式戦は違うんですが…」。オフは技術的には肉体的にもアップデートしてきた。満足したシーズンは1度もない。現状より、もっと上だけを目指して試行錯誤は当たり前だった。
あれから1カ月。開幕してからは別人のように、いや本来の姿を取り戻した。不動の4番として、打つだけが仕事ではない。6回無死、森敬の一、二塁間を抜けようかという打球をダイビングキャッチ。ベースカバーに入った山崎に冷静に転送。守備でもチームをもり立て、阿部監督も「すごくいい姿を見せてくれてる。チームの周り(の選手たち)も、その姿を見て何かを感じてほしいなというのは思いました」と大いに称賛した。
前夜の引き分けを挟んでチームの連敗は3で止まった。開幕から打線のど真ん中でけん引する主砲は力強く言った。「普通にやるべきことをやっています」。驚きもなければ、浮足立つこともない。岡本は平然と次戦を見据える。【水谷京裕】