
<阪神1-7DeNA>◇1日◇京セラドーム大阪
降板を告げられ、ベンチに腰かけた阪神才木浩人投手(26)は大きなタオルで顔を覆った。今季初登板のマウンドは6回途中を7安打4失点。深く深く帽子をかぶり、うつむいた。
「すごくチームに申し訳ない思いもありますし。初のホーム開幕というところで、勝ちたかった」
同点で迎えた6回に落とし穴が待っていた。安打と四球で招いた1死満塁のピンチ。6番佐野に浮いた140キロフォークを捉えられ、勝ち越しの右前適時打を許した。7番山本にもフォークを捉えられて右前に連続適時打を許した。なおも満塁で8番森敬には押し出し四球。2死満塁としたところで交代を告げられ、今季初黒星となった。
「変化球をしっかり決めきれていたら、また結果は変わったと思う。特にフォークですね。フォークを投げる自分の技術不足かなと思います」
昨季はチーム最多13勝。開幕投手を務めた村上とともに、今季は先発陣の軸として期待される。3万6190人の観客が詰めかけたホーム開幕戦。周囲の期待を感じていたからこそ、悔しさを隠さなかった。
3回は牧に左越え同点ソロを浴びたが、5回までは丁寧に試合を作っていた。だからこそ、6回が悔しかった。藤川監督は「向こうにうまくいいタイミングで次の点を渡してしまったというか」と振り返った。
とはいえ、まだ長いシーズンの1戦目。次週は中6日で甲子園開幕戦となる8日ヤクルト戦に臨む。「あまり僕が『25試合分の1だから』というのは違う。でも周りはそういう風に言ってくれた。切り替えて、来週しっかり調整したい」。
降板後のベンチでは目が潤んでいるようにも見えた。それでも報道陣から質問を受けると「泣いていないです」とキッパリ。力のこもった目は、前だけを見ていた。【波部俊之介】