
<センバツ高校野球:横浜-智弁和歌山>◇30日◇決勝
第97回選抜高校野球大会の決勝が、30日に甲子園球場で行われる。決勝では初顔合わせとなる両チームが休養日の29日、それぞれ練習を実施。智弁和歌山は横浜市出身のエース右腕、渡辺颯人投手(3年)が幼少からの「憧れの高校」との頂上決戦に胸を躍らせた。紫紺の大優勝旗をかけ、名門同士がいよいよ激突する。
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横浜ナインは、同校を春夏通算5度の甲子園優勝に導いた渡辺元智元監督(80)から“優勝メソッド”を授かった。
甲子園決勝の勝率8割超えの勝負師が、兵庫県西宮市内の練習グラウンドを訪れ、ナインらを鼓舞。名将が特に気にかけていたのは最速152キロ右腕で、ここまで全4試合に先発した織田翔希投手(2年)だ。「珍しい逸材。素質は十分」とした上で、教え子で「平成の怪物」と称された松坂大輔氏を引き合いに「ボールの速さは、この時点では織田。でも、けん制球、バッティング、メンタルと総合したら織田の比較じゃない。比較外」と辛口評価。「褒めたり厳しく接したり。これから伸びてくるんじゃないか」と、今後の成長に期待を寄せる。織田は「視野が狭くなることが多くて。周りを信頼して投げろと言われました」と、助言を受け止めた。
練習後には選手たちを集め約4分間、ミーティングを行った。「気迫だけは相手に負けるな。安心して、やんなさい。仲間がいるだろ、仲間。周りと連携していけば」と、全員野球を説いた。「げんをかついで、俺の名前は『元』だから(笑い)」と冗談交じりに言いながら、最後は選手、スタッフ全員とグータッチ。19年ぶりの春制覇へ挑む教え子の村田浩明監督(38)には「名門チーム(智弁和歌山)を倒して、初めて伝統は作り上げられていく。試合の中での彼(村田監督)の変化を、また明日、見てみたい」。決勝の舞台で“シン横浜”の飛躍を願った。【保坂淑子】