
初の甲子園で浦和実が持ち味を存分に発揮し、8強入りした。1点リードの5回から登板した変則左腕の石戸が流れを呼び込んだ。
最速は130キロにとどまったが「球速以上にストレートの伸びがあって打ちづらいのかな」と自らを分析。0を並べていった。すると、打線が8回に11人の猛攻を見せ、5得点で試合を決定づけた。
投手陣を中心とした守備から流れを作る-。この日先発の駒木根、石戸のダブル左腕が1試合3点以内にまとめ、守り勝つ野球がスタイルだ。辻川正彦監督(59)は「(1)リズムとテンポと間、(2)予測と準備」を守備の基本に掲げ、ゲッツーを取るときの動き方までもルール化。練習ではシートノックに多くの時間を割き、練習試合は動きをチェック。関東大会では3試合で1失策にとどめ、準決勝の横浜戦では1点差負けの接戦を演じて4強。強豪校にもひけを取らない武器だ。
辻川監督は「1回は校歌を歌って帰りたいと思っていましたが、2回校歌を歌えるなんて」と目に涙を浮かべ、感慨に浸った。この日の失策は東海大札幌が4つに対し、浦和実は0。指揮官は「記録上はないんですけど、ダメなプレーも出ましたから」とさらに磨きをかける。【平山連】