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【センバツ】独特変則フォームで翻弄…浦和実・石戸颯汰が滋賀学園完封「スピードだけじゃない」


浦和実業(埼玉)がセンバツ高校野球の1回戦で滋賀学園を3‐0で破り、甲子園初出場校としての初戦完封勝利を成し遂げた。この勝利を導いたのは、浦和実業のエース左腕、石戸颯汰(3年)で、彼は散発6安打で滋賀学園を封じ込めた。独自の変則フォームが彼の武器で、ピンチにも冷静に対応し、7回には重要な場面での連続三振が勝利に貢献した。石戸は中学時代から現在の独特な投球スタイルを模索し、実力を発揮している。彼の理数系の学業への取り組みが、野球での理論的な戦略にもつながっていると伝えられている。この試合勝利により、浦和実業は埼玉県勢として62年ぶりとなる甲子園での初出場校による初戦完封勝利を記録した。

浦和実対滋賀学園 浦和実先発の石戸颯汰(撮影・石井愛子)

<センバツ高校野球:浦和実3-0滋賀学園>◇22日◇1回戦

1975年創部で甲子園春夏初出場の浦和実(埼玉)が昨夏甲子園8強の滋賀学園に3-0と快勝した。

エース左腕の石戸颯汰(3年)が散発6安打で完封勝利。独特の変則フォームで翻弄(ほんろう)し、同校を創部51年目の甲子園初勝利に導いた。聖光学院(福島)は延長12回、タイブレークで常葉大菊川(静岡)にサヨナラ勝ちした。

   ◇   ◇   ◇

浦和実の変則左腕、石戸が見事な完封劇で甲子園初出場初勝利をもたらした。右足をアゴの高さまで上げ、ボールの出どころも見づらい。独特のフォームで昨夏甲子園8強の滋賀学園打線を散発6安打に封じた。ピンチを背負っても顔色1つ変えず、7回1死二、三塁では下位打線を2者連続三振に仕留めた。同級生や保護者ら約1600人が詰めかけた三塁側アルプスを沸かせ、9回115球の熱投で締めた。

注目を浴びる投球フォームは中学1年の冬ごろに取り入れた。上半身と下半身のバランスを保ちながら、力強いボールを投げられないか? 懸命に模索した末の独自スタイルで、今も投げ下ろす腕の位置など念入りな微調整を欠かさない。高校では理数系のクラスに所属し、得意の数学で学年2位に入ったこともあるという秀才。学業を通して学んだ「理詰めで答えを導く作業」を野球にも応用し、初の甲子園で鮮やかに花開いてみせた。

直球の自己最速は130キロながらチェンジアップ、カーブ、スライダーを低めに集めることで投球の幅を広げた。この日は3奪三振2四死球のまとまり。フライアウト15個と凡打の山を築いた。「野球はスピードだけじゃないことを証明できた」と誇らしげに胸を張った石戸。その隣で、辻川正彦監督(59)は「今日は本当にいい時の石戸が出てたね」と称賛を惜しまなかった。【平山連】

◆埼玉県勢の初陣完封 浦和実・石戸が完封発進。埼玉県の春夏を通じた甲子園初出場校で、初戦完封勝利は63年春の上尾・勅使河原豊(対松阪商)以来62年ぶり2人目。

<甲子園の主な変則投手>

◆高松直志(能代)77、78年夏出場の左腕。右足を身長より高く上げ、両手がさらに天を突くダイナミックなフォームは「星飛雄馬」の異名。

◆渡辺一博(広陵)80年春夏出場の下手投げ。2段モーションを審判に注意された悔しさをNHK「青年の主張」にぶつけ、全国大会に出場して話題に。

◆島袋洋奨(興南)09、10年の春夏に出場し、10年は春夏連覇に貢献。ゆったりとしたモーションから体にひねって投げる「琉球トルネード」。

◆葛西侑也(大垣日大)10、11年春出場。ボールの出どころが見にくい左サイドで、10年春には大阪桐蔭を下す。

◆渡辺法聖(東北)16年夏出場。招き猫の手のように左手首を曲げてボールを握り、ほぼテイクバックなしで最速139キロの直球を投げ込んだ。

◆谷口優成(唐津商)16年夏、セットポジションから右足で立った直後、体重移動を始める前に右足が伸び上がる「ピクピク投法」を披露。

◆吉村優聖歩(明徳義塾)21、22年夏出場の左腕。馬淵監督がサイドスローに転向させ、日本ハム宮西を参考に成長。現巨人。

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