
<センバツ高校野球:花巻東6-3二松学舎大付>◇23日◇2回戦
二松学舎大付の5番永尾愛蓮(あれん)捕手(3年)が、今大会初の柵越え本塁打となる2ランで一矢報いた。
4点を追う7回無死一塁。1ストライクからスライダーをフルスイング。「変化球を待って、体の回転で捉えることができました」。打球はグングン伸び、レフトスタンドに飛び込んだ。今大会初の柵越え本塁打に「打った瞬間は、入ると思わなかったです。いい感じで打てたなぁ、くらいでした」。高校通算4本目となる本塁打。「甲子園で打ててうれしい」と敗戦にも少しだけ笑みを浮かべた。
この冬の練習で力をつけた。毎日10球10セットで計1000本連続ティーバッティングに取り組んだ。「地道に強く打ち込んだ。最後は手首も痛くて、手のひらにはマメだらけ。本当にキツかった」。ボールを捉える感覚を体で覚え、精神的な強さも身につけた。「この練習が今日の1本につながったと思います」と胸を張った。
昨秋のチーム打率は3割9分4厘と出場32校中トップの二松学舎大付が、花巻東の金野快投手(3年)の前に6回までわずか3安打に抑えられた。永尾は「反撃の一打を打ててよかったと思ったんですが…」。終盤の逆転にかけたが、代わった万谷堅心投手(2年)の継投に、追加点を阻まれた。永尾は「ホームランよりも負けたことの方が悔しい」と下を向いた。
今月18、19日にはMLBの開幕シリーズが日本で開催され、ドジャースとカブスが対戦。カブス鈴木誠也の母校・二松学舎大付(東京)とドジャース大谷翔平の母校の花巻東(岩手)との対戦に注目が集まった。
市原勝人監督(60)は「誠也のためにも勝ちたいと思ってましたけど、しょうがない」と話したが、この日、カブス鈴木誠也は、2打席連続アーチを放つ活躍。母校では永尾が先輩に続く甲子園初アーチを記録した。永尾は「(鈴木誠也の2本塁打は)知りませんでした」と試合に集中し結果を残した。市原監督は「負けましたけど、いい勉強をして東京に帰れる」と選手たちに期待を込める。
この負けを糧に強くなる。選手たちは春の舞台に誓った。