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大幸薬品 Research Memo(1):2022年12月期は販管費の圧縮等で損失幅が縮小。業績の底打ちを確認


*14:21JST 大幸薬品 Research Memo(1):2022年12月期は販管費の圧縮等で損失幅が縮小。業績の底打ちを確認 ■業績動向

大幸薬品<4574>は、「正露丸」「セイロガン糖衣A」を中心とする医薬品事業と、ウイルス除去・除菌・消臭製品「クレベリン」シリーズを中心とした感染管理事業を展開している。

2022年12月期通期は、売上高が5,040百万円(調整後前期比49.2%減)、営業損失が3,079百万円(調整後前期は4,947百万円の損失)、経常損失が3,352百万円(同6,131百万円の損失)、親会社株主に帰属する当期純損失が4,895百万円(同9,594百万円の損失)となった。主に感染管理事業の大幅減収が響き減益となったものの、販管費の圧縮などにより損失幅が縮小した。

売上高に関しては、医薬品事業(国内、海外)が3,624百万円(前期比10.9%減)、感染管理事業が1,408百万円(同75.9%減)と感染管理事業の減収が相対的に大きかった。国内医薬品事業の売上高は2,527百万円(同12.7%減)となり、主力製品である「セイロガン糖衣A」の一部原材料変更に起因する生産量低下の影響により減収となった。もう1つの柱である「正露丸」は、欠品した「セイロガン糖衣A」の代替や他社製品の欠品の影響により売上を伸ばした。国内止瀉薬市場は新型コロナウイルス感染症拡大(以下、コロナ禍)以前と同水準に回復しており、安定供給体制が整えば十分成長が可能である。同社のシェアは45.2%(2022年10月~12月)であり、シェアNo.1を堅持している。海外医薬品事業の売上高は1,097百万円(同6.6%減)と微減となった。主力地域(中国、香港、台湾)での需要は回復傾向にあり、本来はさらに売上を伸ばす余地があったものの、国内向けを優先とした製造スケジュール調整を行ったため減収となった。感染管理事業の売上高は、主力の「クレベリン」製品の新パッケージ切替が完了(2022年8月)したが、需要の伸び悩み及び消費者庁措置命令(2022年1月、2022年4月)の影響で大幅に減少した。

売上総利益は、感染管理事業の減収に伴う利益額の減少などにより大幅な減少となった。販管費に関しては、構造改革の推進に伴い、広告宣伝費(前期比1,093百万円減)、運送費(在庫保管料含む、同366百万円減)、人件費(役員報酬の減額や希望退職の実施含む、同500百万円減)の削減などを断行し、販管費全体で2,731百万円の減少となった。結果として、営業損失幅は1,868百万円縮小し、3,079百万円の損失計上となった。セグメント利益では医薬品事業が297百万円の利益(前期比79.8%減)、感染管理事業は2,179百万円の損失(前期は4,936百万円の損失)だった。なお、特別損失として希望退職者募集に伴う関連費用(226百万円)、支払補償費(499百万円)、課徴金引当金繰入額(607百万円)を、特別損失に計上した。弊社では、2022年12月期で悪材料は出尽くしており、構造改革の進捗などにより損失幅が縮小していることから、確実な業績の底打ちを確認できたと考えている。

財務基盤に関しては、安全性を維持している。流動比率270.5%(2022年12月期)は安全性の目安となる200%を超えており、自己資本比率53.5%(同)も高い水準である。有利子負債(3,759百万円)は、現金及び預金(3,105百万円)と比較しても過大ではなく、コントロールされている。また、銀行団とは総額50億円のコミットメントライン契約(期末時点では未借入)を締結しており、足元の資金調達余力は十分確保できている。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 角田秀夫)

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