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洗うな危険、冷やすな危険!? 卵にまつわる勘違い8つ。


12年間にわたり世界中をめぐっている著者が、現地の健康&食べもの情報を毎週お届けします。


 


軽キャンピングカーで、世界半周中です。


西アフリカの雨季をスキップして喜望峰にたどり着き、水不足のケープタウンで引きこもっています。


このまま雨が降らなければ、3ヶ月以内にダムは枯渇。世界で初めての水無し都市になる瀬戸際ですから、はっきり言って招かれざる客。


お詫びの一貫として、シャワーは3日に1回。肌の調子がよければ、中3日で過ごします。


ただですね私、個人的には頭髪を節約してまして、シャンプーを使わないノープー(湯シャン)を実践中(ノープーの記事は→「ノーシャンプーで頭皮を守れ!匂いや薄毛にお悩みなら、「皮脂」と「常在菌」を守ること。」)。


毛が抜けるほど、髪の毛が心配です。


 


南半球のケープタウンは、夏真っ盛りの観光シーズン。


宿不足で1週間と長居できず、4、5日おきに引っ越しして、すでに5軒目の民泊です。


新しい家は、茅葺き屋根の豪邸が立ち並ぶ一角の普通の家。


近所の庭や空き地を利用した、農地を持たない超小規模農家です。


出迎えてくれたのは、野菜と鶏でした。


 



 


今回は、卵にまつわる都市伝説とトリビアを8つ、ご紹介します。


 


1.「濃い黄身=栄養豊富」は真っ赤な都市伝説。

 


産地直送の卵は、1個27円。


黄身が濃く、箸でつついてもなかなか割れない表面張力バリバリのプリプリ感。


無駄な精力がつきそうで、恐いです。


 


ラップに包んだ、真っ黄色な卵焼き。卵を茶碗でといたら、お椀にこびりつくくらいのどろ~り感。

 


真っ黄色な卵焼きは栄養のてんこ盛りに見えますが、「濃い黄身=栄養豊富」は真っ赤な都市伝説です。


餌の違いが、色に反映されているだけ。


トウモロコシばかりを食べさせると白っぽくなるし、パプリカを混ぜると黄色が濃くなるけど、精はつきません。


 


2.「卵は1日1個だけ」も都市伝説。

 


卵の都市伝説といえば、ロシアです。


シベリアの食堂は、朝っぱらから卵焼きが3つ。


矢沢永吉さんの子供時代の誕生日が卵2つですから、1.5倍も贅沢な朝食です。


3個も食べたらコレステロールで鼻血が吹き出そうですが、「卵は1日に1個だけ!」も都市伝説です。


デマの犯人はロシア。うさぎに卵を食わせた実験が元凶ですから、科学的に証明された感があるものの、よくよく考えたらうさぎは卵を食べないってことを思い出した世間です。


 


3.卵に「消費期限」はナシ。賞味期限を超えたら、焼いて食え!

 


卵といえば、色鮮やかに思い出すのがジョージア。


首都のトビリシで出会った、卵の移動販売。店主の顔には、「産地直送」「新鮮」の文字がくっきりと浮かんで見えたものですが、腰が抜けるほど勘違いでした。


10個中5個も捨てました。


黄身の一部が、赤だの緑だの茶だのと色とりどりの半レインボー。


細胞分裂に勤しんでいるのか、成長著しいというのか、命の神秘は視覚的にグロいです。


いくら産地直送でも賞味期限を過ぎていたら意味ないと思いきや、日本の鶏関係の協会によると、卵に「賞味期限」はあるものの「消費期限」はありません。


筆者流に行間を読むと、いつ買ったかわからない卵なら、味は保証しないけど、よく焼いて食えってことです。ですよね?


それで思い出したのは、フィリピンのバロット。


バロットは孵化直前のアヒルの卵で、殻のなかで狭そうにカラダをくねらせていて、もうほとんど立派な生き物。ときには羽も生えているゆで卵。


見た目からして食中毒なのに食べて平気なのは、加熱しているからです。


 


4.愛では、卵の味は変わらない。

 


ジョージアで捨てた半レインボーの卵ですが、あれだけ生々しい「命」を感じたのですから、有精卵だったかもしれません。


契りを交わした卵ということは、雄鶏の情愛が込もったぶん栄養が詰まっていそうですが、幻想です。


栄養は同じ。


お父さんの愛が、旨味や隠し味になることもありません。


男の存在なんて、そんなものです。


 


5.「茶色の殻は栄養豊富」も都市伝説。

 


去年、夏休みを過ごしたドイツやフランスでは、茶色い卵が人気です。


茶のほうが栄養豊富に見えますが、それもまた都市伝説、っていうか勘違い。手前勝手な印象操作。


殻の色の違いは鶏の種類によるもので、栄養に差異はありません。


もちろん、餌を変えても殻の色は変わりません。


 


6.洗うな危険!

 


卵の色が茶色だったか白だったのか思い出せませんが、とにかく汚かったのはメキシコです。


お店に積み上がった、土やら羽やら糞やらがこびりついた卵の山。


鶏って、産道も糞道も呉越同舟だったんだなあって思い出させてくれる、ナチュラル感。


食欲を失うので洗ってから売ってほしいものですが、卵の水洗いは厳禁です。


水洗いすると、逆に、サルモネラ菌が卵の中に入ってしまうのです。


ちなみに日本の業者は、特別な液体で洗浄しています。


 


7.冷やすな危険!

 


殻に水がつくと卵内にサルモネラ菌が入るということは、冷蔵庫も安心できません。


「卵が冷える→外に出して放置→水滴が付く→菌が侵入」というわけです。


冷蔵庫から出したら、さっさと食べましょう。


 


8.サルモネラ菌は焼いて食え!

 


冷蔵庫の心配がないのは、ブルキナファソ。


西アフリカの死ぬほど暑い貧乏国なので、住宅街の掘っ建て小屋商店には冷蔵庫なんてありません。


卵を買ったら、熱っ!


ゆで卵っ?ってくらいホット!


気温は35度前後で、体感温度は40度。サルモネラ菌の繁殖しやすいのは37度なので、絶対に卵のなかで菌が増殖してます。間違いなく殺人級。


これ以上ないくらいしっかり焼いた卵焼きは、よく噛まずに飲み込みました。


サルモネラ菌を味わう余裕はなかったです。


 


以上、卵の都市伝説とトリビアです。


茶色い殻の有精卵で、黄身が濃いものを1日1個だけ食べて誰よりも健康になれば、立派なプラシーボ効果。


新しい伝説の誕生です。


 


石澤義裕(いしざわ・よしひろ)

デザイナー。1965年、北海道旭川市生まれ。札幌で育ち、東京で大人になる。出版社勤務、デザイン事務所、編集プロダクションなど複数の会社経営の後、2005年4月より建築家の妻と夫婦で世界一周中。生活費を稼ぎながら旅を続ける、ワーキング・パッカー。世界中の生の健康トレンド情報をビジネスライフで連載中。

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